大手IT企業が相次いで、ビッグデータの専任組織を立ち上げている()。社内に分散する人材を結集し、顧客ごとに適切なサービスを提供できる体制を整える。

表●大手IT企業が最近設立したビッグデータ関連組織
表●大手IT企業が最近設立したビッグデータ関連組織
[画像のクリックで拡大表示]

 富士通は6月24日、「ビッグデータイニシアティブセンター」を発足させた。30人の中核メンバーが顧客対応の先頭に立ち、データサイエンティストやコンサルタントなど800人体制で支援する。「ビッグデータ活用の目的は決まっているが、実現する手段が分からない。顧客企業が抱えるこうした悩みを解消したい」と阪井洋之統合商品戦略本部長は話す。

 狙いは、ビジネス規模の拡大だ。これまでは各事業部門が個別にビッグデータ関連のビジネスを手掛けてきたが、今後は情報をセンターに集約。案件ごとにチームを結成して商談を進める。

 「社内に分散するノウハウを集約することで、提案の幅が広がる」と阪井本部長はみる。データ分析の受託だけでなく、CRM(顧客関係管理)システムの構築やクラウドサービスの導入につなげて稼ぐ計画だ。2012年度に約600億円だったビッグデータ関連売上高を、今年度は1000億円に伸ばし、2015年度に2000億円規模に育てるとしている。

 ベンチャー企業との提携も強化する。独創的なアイデアを持つ企業に富士通のIT基盤を提供することで、新サービスを素早く生み出すのが目的だ。8月から提携先となるベンチャーを募集し、年間10~20社との協業を目指す。

 体制強化を進めるのは富士通だけではない。日立製作所は6月1日、全世界のビッグデータ関連部門を統括する300人規模の組織を開設した。研究所や事業部門に散在するノウハウを集約し、社会インフラ企業などに対して分析サービスを提供する。英国の行政機関と提携して疾病予防サービスを開発するなど、日立がグローバル化を進める切り札にする。2015年度までにビッグデータ関連売上高を1500億円に増やし、そのうち1000億円を海外で稼ぐ計画だ。

 NTTデータは7月1日に130人体制の「ビッグデータビジネス推進室」を設立。アクセンチュアも6月15日、データサイエンティスト100人を含む300人規模の専任部署を立ち上げた。ビッグデータ関連商談の争奪戦が、さらに熱を帯びそうだ。