WindowsXPのサポート終了で、セキュリティソフトのベンダーもエンベデッド市場の開拓を強化している。エンベデッド用のWindows7やWindows8といった新OSにすぐ移行せず、XPをできるだけ使い続けたい需要を狙う。
こうした法人向けの新たな分野を強化すべく、マカフィーやカスペルスキーなどが動き始めた。
ホワイトリスト方式でウイルス対策
エンベデッド市場を狙ったマカフィーの「McAfee Embedded Control」では、「ホワイトリスト方式」と呼ぶ手法を打ち出している点が大きな特徴である。これは事前に登録されたアプリケーションだけを実行する方式のため、ウイルス定義ファイルの更新が不要になるなど運用面の作業が大幅に軽減できるという。
「ホワイトリスト方式では、ウイルス定義ファイルを更新せずに済むため手間がかからない。スキャンも不要になるなどシステム側への影響は少ない。更新されなくなったOSでもセキュリティ対策を強化できるようになる」(マカフィー・マーケティング本部プロダクトマーケティング部の松久育紀スペシャリスト、写真1)。
オフィスや家庭用のパソコンで使われるセキュリティ対策には、一般に「ブラックリスト方式」と呼ばれる方法が使われている(画面1)。
ブラックリスト方式では、最新OSに対応するセキュリティソフトをインストールし、ウイルス定義ファイルを常に更新していくなど、作業に時間がかかるだろう。更新やスキャン時にはシステムに負荷が発生する可能性もあり、組み込み機器の動作に影響が出る心配もありそうだ。
ハードのリソースが限定されていれば、性能に影響を及ぼさない方法がベターだろう。しかも組み込み機器はオフィスや家庭用のパソコンとは異なり、インターネットに接続されていないケースも多い。そこで注目されたのがホワイトリスト方式の製品だった。
McAfee Embedded Controlは、マカフィーが09年5月に買収を発表したソリッドコアシステムズの製品。市場でも先行しており、他社をリードする存在といえる。