続いて、運用上の課題に関する調査結果を紹介しよう。今回の調査では、予算/ 人材/ 体制/ マネジメントなど、運用の現場で現在抱えている課題を聞いた。集計結果の上位15項目を並べたグラフが図1だ。

図1●運用上の課題 上位15項目
図1●運用上の課題 上位15項目
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 最初に気が付くのは、人員やそのスキル、体制に関する項目に回答が集中している点だろう。「ノウハウが属人化している」が75.8%、「特定のスタッフに業務が偏りがち」が61.4%、「人材育成ができていない」が55.0%と上位3項目を人員/体制に関する課題が独占した。さらに「担当者が多忙で十分な管理ができていない(53.1%)」「新しい技術を習得する体制が整っていない(48.2%)」「エンドユーザー教育が十分でない(44.5%)」「担当者がバラバラで効率が悪い(24.4%)」と、人員/体制に関する課題が上位15項目中7項目と半数を占めた。

 回答者のコメントを見ても、「業務が多忙すぎて人材育成ができていない。システム担当者が2~3年程度で退職してしまう(不動産業)」「システム部門が廃止統合され縮小し、兼任となった。システム担当が1人なので不安が大きい(商社)」など、人員不足や育成の難しさに関する切実な悩みを打ち明ける声が多数寄せられた。

 JX日鉱日石インフォテクノの上野氏は、「現在の運用業務は、多様な構成のサーバーが多数存在し、それを共通のインフラ上で運用するという複雑な構造。多数の運用プロセスがからみ合う上、1人の担当者が何役もこなさなければならない」と指摘する。調査結果からも、限られた体制で複雑な運用業務を懸命にこなす、“疲弊”した現場の実態が浮き彫りとなった形だ。

 人員以外の課題では、「システムの老朽化(48.5%)」「災害時の体制/プロセスが十分でない(45.8%)」「運用マニュアル/手順書を整備できていない(41.1%)」など、システム環境や運用プロセス面の課題が目立つ。