前回まで、ゲーミフィケーションの要素が強く取り込まれたサービスを紹介し、どのような工夫がされているかについて紹介してきた。今回は、どのような場合にどのようなゲーミフィケーション要素が有効なのかを事例を見ながら解説していく。

 まず最初に、タイトルにある「カスタマージャーニー」とは、マーケティング領域で見かける用語で、カスタマー(ユーザー)がどのような体験を経ているかを表現するための言葉である。Webサイトにおいても、初訪から、サイト内を回遊、リピートしたり、コミュニティに参加したりといったユーザーが体験する順序(必ずしも一方通行ではないが)がある。

 ジャーニーの途中で離脱することをなるべく避けたいのがサイト運営者の願いだと思うが、ゲーミフィケーションの様々な要素は、こうした離脱を防ぐ上で具体的にどのように有効なのだろうか。今回は、Webサイトにおいていくつかの典型的なサイト内の行動を取り上げ、そこでの離脱を防ぐための事例を説明する。

初訪時の“直帰”を防ぐ

写真1●「LINE POP」の初回起動時の画面
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 あるWebサイトにおいて、ユーザーの離脱が最も大きいのは初訪時であることが多い。特に初訪時の最初に閲覧するページ(ランディングページあるいはトップページであることが多いだろう)での離脱が多いと悩むWebサイト運営者は多いのではないだろうか。

 ゲーミフィケーションでは、最初のサービス接点から、うまく先に進んでもらうまでのプロセスを特別に「オンボーディング」と呼ぶことがある。個別に名前が付けられていることから、いかに重視されているかが分かるだろう。

 最初のハードルを乗り越えることが重要なのはゲームでも同じである。ゲームを見ると、最初の利用時にだけ出てくるモードがある。一般には「チュートリアル」と呼ばれることが多い(写真1)。初めて使うユーザーは何ができるのか、どんな使い方をするものなのかが分からないため、チュートリアルを用意し基本的な点を理解をしてもらうプロセスを設けているのだ。