写真●Windows XPのデスクトップ画面もそろそろ見納め
写真●Windows XPのデスクトップ画面もそろそろ見納め
[画像のクリックで拡大表示]

 来年、つまり、2014年の4月9日、マイクロソフトはWindows XP、Microsoft Office 2003、Internet Explorer 6のサポートを終了する。

 そもそもWindows XPが発売されたのは2001年で、かれこれ12年も前のことになる。それが、今までサポートし続けられていたこと自体が驚きでもある。最後にSP3が出たのが2008年で、そこから数えても5年だ。電化製品などの耐久消費財は行政指導によって「補修用性能部品の最低保有期間」を定めているが、それらは製品の製造打ち切り後、長いものでもおおよそ8~9年後となっている。ソフトウエアのサポートと部品を同列に並べて比較するわけにはいかないが、ハードウエアとソフトウエアを分けて考えることができるITの世界でこそできてきたことだといえる。

 いずれにしても、これらサポート終了が目前の製品について、これらに依存した環境でビジネスが成り立っている現場は決して少なくない。また、新しい環境の導入に際して、ある程度のマンパワーや予算をかけられる大企業もあれば、ビジネスロジックが正常に動いていて特に不自由していないのに変えなければならないリスクにおびえる企業もある。さらには、変えなければならないことはわかっていても、そのための予算も人材もないと、途方に暮れている企業もあるだろう。

ネットの時代だからこそ、サポート終了はシステムの終了

 だが、サポートが終了しても、動いている限りは大丈夫という考えは捨てるべきだ。なぜなら、サポートの終了によって新たに見つかった脆弱性などについて、それをふさぐ方法が提供されなくなるからだ。自前のシステムが脅威にさらされるだけなら自己責任で済む話だが、ネットワークにつながっているのが当たり前の時代である今、他の健全なシステムにリスクを与える結果になってしまう可能性もある。つまり、自社のためというよりも、他社に迷惑をかけないための対処でもあるわけだ。

 マイクロソフトでは、移行支援強化期間として、さまざまな方法で、新しいバージョンのWindowsやOfficeへの移行を案内している。大企業から中小企業、公共機関、教育機関、そして個人までがすべて対象となる。何度も延長が繰り返されてきたWindows XPだが、今度こそ、本当に覚悟を決めなければならない。

 この連載では、サポートが終了する来春に向けて、その周辺の話題を取り上げながら、パソコンの未来を考えていく。どうかご期待いただきたい。

 Windows XP サポート終了まで、あと40週。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei