最近、ソーシャルメディア(SNS)の「なりすまし」にかかわる話題を、多くのところで見かけるようになった。これは日本国内に限った話ではない。約1カ月前にはFacebookが、企業やブランドの公式Facebookページに対して、それが「本当の公式ページ」であることを保証するマークの表示を始めた。この仕組みは、Twitterが以前から導入していたのと同様のものだ。

 FacebookやTwitterに限らず、大なり小なりどのSNSも、「なりすまし」にはきちんと対策をとっている。この問題は以前から少なからず発生しており、なりすまされることで何らかの「ネガティブなインパクト」を受けた企業が決して少なくないからだ。

 FacebookやTwitterをはじめとするSNSを企業が活用することが珍しかったころは、特に「なりすまし」の事象が非常に多かったように思える。その企業のFacebookページやTwitterアカウントが開設するよりも前に、「なりすまし」アカウントから虚偽の発言や暴言などを発信し、その企業の評判を著しく傷付ける行為が、多く発生していたものだ。

 一時期は「なりすまし」によって自分たちの評判を落とさないように、企業は一刻も早くFacebookページやTwitterアカウントなど、ソーシャルメディアの窓口を開き、公式に発信活動を始めるべきといわれていた。それが有効な策であるかといえば、若干疑わしいところもあったが、企業によっては自社のウェブサイトで「公式の」FacebookページやTwitterアカウントのリストを公開するといった対策をとっていた。

 冒頭で「なりすまし」が、最近再び多く語られるようになってきたと述べたが、ここには「ネット選挙の解禁」が大きく関与している。7月に予定されている参議院議員選挙から選挙期間中もインターネットでの選挙運動が可能になるのを受け、すでに与党も野党もネット上でも、事実上の選挙戦に入ったといわれている。

 その際に利用できるのはWebサイトのほか、FacebookやTwitter、Lineといったソーシャルメディア、一部制限が設けられているものの電子メール、さらにネット広告となっている。特にWebサイトやソーシャルメディア部分で、「なりすまし」に対する懸念が非常に高まっている。「ネット選挙」解禁に向けて一部の事業者が、対策となるソリューションや「リスニング」といった監視サービスなどを提供し始めている。