XPからの移行先としてのWindows 8と7の検証実験は、編集部で用意したPC環境で実施した(図1)。PCを買い替えずにOSを移行するケースを想定し、4年ほど前のPCにWindows 8と7(ともに64ビットEnterprise版)をそれぞれインストールし、各種検証実験を行った。

検証環境
図1●4年ほど前に自作したデスクトップPCを使い、Windows 8と7の64ビットEnterprise版を交互にインストールして各種検証を行った。それぞれインストール直後のクリーンな状態でOSイメージをバックアップしておき、作業ごとに書き戻している
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 最初の実験項目は「デスクトップOSとしての使いやすさ」である(図2)。これは数値では測れないのであくまでも記者の主観であるが、Windows XPからのスムーズな移行を考えた場合、Windows 7の方が8よりも移行しやすい。

図2●Windows 8はタッチ操作前提のUIに大きく変わったため、従来のWindowsユーザーがマウスで操作するにはかなりの慣れが必要。XPから移行する際の取っ付きやすさは7の方が優れている
図2●Windows 8はタッチ操作前提のUIに大きく変わったため、従来のWindowsユーザーがマウスで操作するにはかなりの慣れが必要。XPから移行する際の取っ付きやすさは7の方が優れている
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 Windows 8は、従来のデスクトップ画面ではなく新しいUI(モダンUI)を採用した「スタート画面」を基点として操作するスタイルになっている。Windows XPユーザーは、この操作に慣れるまでが大変だ。多くの企業ユーザーは従来のWindowsアプリケーションをデスクトップ上で実行するだろう。現在使っているアプリケーションに加えて別のアプリケーションを動作させる場合、一度スタート画面に切り替える必要がある。スタートボタンからアプリケーションを呼び出すのではなく、画面自体が切り替わるので、その操作にストレスを感じやすい。

年内提供のWindows 8.1は「スタートボタン」が復活

 なお、米MicrosoftはWindows 8のアップデート版である「Windows 8.1」を年内に無償でダウンロード提供することを発表済み。6月27日には、米サンフランシスコで開幕した開発者向け会議「BUILD 2013」に合わせて正式リリース前の「プレビュー版」を一般公開した。Windows 8.1プレビュー版では、デスクトップ画面左下隅(タスクバーが標準の下配置の場合)のおなじみの位置に「スタートボタン」が復活している。

 ただし、スタートボタンをマウスでクリックしても、Windows 7までのアプリランチャー機能である「スタートメニュー」は表示されない。Windows 8のスタート画面に戻るだけである。これを聞いて若干肩透かしを食った印象を持つ人もいるかもしれないが、それでも「左下の定位置にあるスタートボタンを起点にすべてのアプリを直感的に起動できる」ようになった意義は大きい。

 なお、コントロール パネルの「個人設定」から「Taskbar and Navigation」-「ナビゲーション」タブとたどることで、(1)サインイン(OSログイン)時にスタート画面ではなく直接デスクトップを開く、(2)スタート画面への移動時にアプリビュー(スタート画面から遷移して呼び出せるアプリの一覧画面)を自動表示する---という追加設定が可能になっている。

 これらを併用すると、OS起動直後からデスクトップを利用でき、スタートボタンを1クリックするだけで、任意のアプリをすぐ選んで起動できる状態になる。スタート画面への画面遷移は発生するものの、8以前のWindowsと非常に近い操作でアプリ起動が可能だ。単純にスタートボタンの有無やデスクトップの使い勝手の悪さだけが不満でWindows 8を避けようとしているユーザーは、Windows 8.1プレビュー版での動作を実際に見てから導入するかどうか最終判断してみてはいかがだろう。

* Windows 8.1についての上記説明は、ITpro転載に際して加筆・修正しました。