BroadR-Reachは、そもそも「車載用途ではなく、ホテル内などのネットワーク・システム向けに開発されたもの」(車載Ethernetに詳しいある技術者)だという。数年前に、輻射される電磁雑音が小さいなどの理由から、BMW社が同技術に着目し、導入に向けて動き出した。
その後同社は、BroadR-Reachに対応した物理層LSIを供給する企業がBroadcom社の他にも存在する方が調達面で望ましいとし、CANやFlexRayの物理層LSIの開発で実績があるオランダNXP Semiconductors社に、BroadR-Reach対応の物理層LSIの開発を持ちかけたという。
こうした経緯から、BMW社やBroadcom社、NXP社などが主導的な立場を取る「Promoter」となって、普及促進団体OPEN Alliance SIGを2011年11月に立ち上げた。
OPEN Alliance SIG設立当初、数社にすぎなかったメンバー企業は、2012年6月時点で50社を超えている。これまで欧米企業が中心だったが、Promoterとしてルネサス エレクトロニクスが参加し、2012年5月以降にホンダやデンソーが新たにメンバーに加わるなど、日本企業も増えている。
メンバー企業の増加と共に、同企業による対応製品の開発も進んでいる(図)。BroadR-Reach対応の物理層LSIに関しては、既にBroadcom社がサンプル出荷中である。セカンド・ベンダーとして、NXP社が2014年初頭の量産を目標に、物理層LSIを開発中だ。
(続く)