NTTドコモが体温計を販売──。2013年6月1日、ドコモショップの店頭にスマートフォンと並んで婦人体温計が置かれ出した(写真1)。「ドコモがなぜ体温計を?」と疑問に感じる人は多いに違いない。

 ドコモは同日、女性向けの健康管理サービス「カラダのキモチ」をスタートさせた。体調や1日のバイオリズムに合わせ、専用のスマホアプリを通じて女性にアドバイスをする有料サービス(月額315円)である。

 目玉は10秒で基礎体温を測れる、オムロン製の婦人用電子体温計を用意したこと。価格は3255円。

写真1●ドコモが提供するオムロン製の婦人体温計。スマホに体温データを無線転送できる
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 朝、スマホの目覚まし機能に従ってアプリが自動的に立ち上がるので、利用者は口の中で約10秒間、体温を測定。そのままスマホに体温データを無線転送できるというものだ。

 布団に入ったまま、素早く基礎体温をスマホに記録できる便利さが売りである。ホルモンバランスに変調が見られると、メールが届くことになっている。

 サービス内容はその通りなのだろうが、はたしてドコモショップで体温計を買おうと思う人が、どれほどいるのだろうか。

 疑問に感じたので、ドコモショップに出かけてみることにした。そこで目の当たりにしたのは、(記者の)想像以上の反響だった。

 向かった先は、都内にある「ドコモショップ豊洲店」。近隣には最近できたばかりの高層マンションが幾つも立ち並び、若い夫婦が数多く暮らしている。取材対応してくれた元柏雅美副店長によれば、「6月20日時点までの実績では、毎日1件ペースで成約できています」とのことだった(写真2)。

 これには正直、驚いた。しかもこの店舗で一番成約を決めているのは、男性スタッフなのだという。これまた驚きだ。


写真2●ドコモショップ豊洲店で「カラダのキモチ」を推進する、元柏雅美副店長
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 豊洲店は入口の真正面に、カラダのキモチの専用コーナーを設けている。力の入れようが伝わってくる。

 ただし、それを見て、自らスタッフに質問してくる顧客は、まだほとんどいない。当然といえば、当然だろう。

 「アクションの9割はスタッフ側からの声掛けです。20~40代の女性のお客様が来店された場合、カウンターでスマホの機種変更などのお手続きをする際に、基礎体温を測れる話も始めています」。