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木村岳史の極言暴論!

窮余のフルアウトソーシングは禍根残す

木村 岳史=日経コンピュータ 2013/07/12 日経コンピュータ
出典:日経コンピュータ 2013年6月27日号p.75
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 アベノミクスの上げ潮に乗れそうな企業、グローバル競争に敗れてリストラ一色の企業。今、日本企業の2極化が進行している。こんな時、企業の情報システムに焦点を当ててみると、勝ち組の企業は攻めのIT投資、負け組はIT資産のフルアウトソーシングと相場が決まっている。ただ、攻めのIT投資だけでなくフルアウトソーシングも、本来なら業績好調時に行うべきだ。切羽詰った状況でのフルアウトソーシングは、必ず将来に禍根を残すからだ。

 実際、過去のフルアウトソーシングの事例では、委託先のITベンダーに強い不満を持つようになったユーザー企業は少なくない。そうした企業の大方は、いわゆる基幹系システムをその運用を担当するシステム子会社ごとITベンダーに売却し、自社内にはIT企画の部隊しか持たなくなった企業だ。システム運用の実務はITベンダーに任せて、自らは経営戦略に基づくIT戦略の立案に特化する。経営学の教科書通りの美しいフォーメーションだが、現実には機能しない。

 ユーザー企業が不満を持ち、ITベンダーともめるポイントも決まっている。それはアプリケーションの保守である。言うまでもないが、保守ではバクの修正よりも、業務の変更に伴うアプリケーションの改変のほうが重要な仕事だ。フルアウトソーシングした以上、その保守もITベンダーが担う。だが、ユーザー企業から見ると、ITベンダーの対応は鈍い。アプリーション改変の要請に臨機応援に対応しようとせず、利用部門の業務に悪影響を及ぼすこともある。

 これに対して、企画機能しかなく自分たちでシステムを作れないユーザー企業のIT部門は、「ふざけるな」と歯噛みする。第三者が聞いても、「ITベンダーの対応がひどい」という話になる。だが私から言わせれば、大概の場合、こういう事態に陥ったのは、ユーザー企業の責任である。なぜなら、そうなるような契約をITベンダーと結んでいるからだ。

 業績が悪化して切羽詰っている時、企業の経営者はコスト削減やキャッシュフローの改善しか考えられない。フルアウトソーシングも当然、その施策の一環で、IT資産の売却による資金繰りの改善と、複数年にわたるITコストの削減が主要目的となる。しかも、コストは上限を明確にしたいから、今年のITコストはこれ、来年にはここまで下げる、といった契約をITベンダーと結ぶことになる。

 そうなるとITベンダーも、ユーザー企業のコスト削減要求をクリアし自らも利益を得るために、守りに入らざるを得ない。ITベンダーの場合、システム運用なら合理化のノウハウが豊富で、コスト削減は間違いなく実現できる。問題なのはアプリケーション保守だ。保守はアプリケーション開発と同じ。ユーザー企業の要求に際限なく対応していると、要件が野放図に膨れ上がり、コストが跳ね上がる。当然、ITベンダーは保守を抑制しようとするわけだ。

 だから、業績不振時にフルアウトソーシングを行ってはいけない。むしろ、業績が好調で戦略的にIT施策が打てる時に検討すべきなのだ。その際のポイントは、開発部隊をどうするか。バックヤードのシステムの保守しかやっていないから、運用部隊とともに外に出してしまおう、と考えるのは短絡的。見てきたように、将来の禍根の種になる可能性が高い。それに、バックヤードだけでなく、ビジネスに直結するシステムが必要になったとき、開発部隊の不在は、より大きな問題となる。

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