「これが最新のプロダクトなんですよ」。アノドスのCEOでクリエイティブディレクターの森栄樹氏は、筆者の前に置かれていた、一見するとスマートフォンのような外観のコースターにグラスを乗せ、モエ・エ・シャンドンのブリュット・アンペリアルを静かに注いだ。
森氏が手がけたプロダクトを間近で見るのは、第1号機のANOBAR(関連記事)に次いで2度目。いつものことながら演出には抜かりがない。
シャンパンを一口飲んでグラスをコースターに戻すと、コースターの表面に「49ml」と、電子の表示が現れた。筆者が今まさに飲んだ量である。「これは面白い」とコースターのハードウエアだけを見て、まずはそう思った。
ところが、まだ続きがあった。近くに置かれたiPadの画面には、筆者と森氏のアバターが、それぞれが飲んだ量とともに表示されていた。
44mlを飲んだ森氏のアバターの上位に、49mlを飲んだ筆者のアバターが表示される。ここで森氏がさらに飲むと、飲んだ量の合計が筆者の合計を超え、森氏のアバターがトップに躍り出る。それではと筆者が飲むと今度は筆者のアバターがまた上に来る。
その場にいたのは2人だけなので、2人のアバターの順位が交互に入れ替わる。飲んでいるペースも、折れ線グラフで表示される。飲んだアルコールの分解に、あとどれだけの時間が必要なのかも教えてくれる。このコースターはZigBeeの通信モジュールを内蔵しており、同時に8人まで参加できる。
この最新プロダクトの名称は「ドリンクメーター」。同社が取り組んでいる“モノ作り”の実態をIT業界だけでなく幅広い人たちに分かってもらうために制作したと森氏は説明する。
酒の席で、名刺代わりにドリンクメーターを使うことで、創造的な製品を作っていることが相手に効果的に伝わる仕掛けだ。