2013年5月のゴールデンウイーク明け早々から、ソフトバンクモバイルを皮切りに、NTTドコモ、KDDIの携帯大手3社が夏モデルの新製品発表会を開催した。今年の各社の夏モデル発表会は、昨年までの、これでもかというほど機種数をそろえる発表内容から、がらりと変わった。各社ともに端末のラインアップをぐっと絞ってきたからだ。

スマホの数をそろえるだけ時代は終わった

写真1●夏モデル発表会で記者団の質問に答えるNTTドコモの加藤薫社長
写真1●夏モデル発表会で記者団の質問に答えるNTTドコモの加藤薫社長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●「正直機種数は絞った」と夏モデル発表会で話すKDDIの田中孝司社長
写真2●「正直機種数は絞った」と夏モデル発表会で話すKDDIの田中孝司社長
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●「スマホはPCと同じ道をたどっている」と夏モデル発表会で話すソフトバンクの孫正義社長
写真3●「スマホはPCと同じ道をたどっている」と夏モデル発表会で話すソフトバンクの孫正義社長
[画像のクリックで拡大表示]

 例えばドコモは昨年は夏モデルとして20機種(うちスマホは16機種)も用意したが、今年は11機種(うちスマホは9機種)に抑えた。KDDIも昨年は10機種(うちスマホは6機種)用意したが、今年はたったの4機種(すべてスマホ)だ。

 NTTドコモの加藤薫社長(写真1)は「スマホの機能性能が一定の水準となり、どの機種もオールインワン端末となった。これまでは数だけを並べていた一面もあったが、今回は選びやすいようにラインアップを絞った」と語る。

 KDDIの田中孝司社長(写真2)も同様に「はっきり言って機種は絞った。たくさん機種を出すよりは丁寧に販売したほうがよい」と述べる。

 ソフトバンクの孫正義社長(写真3)も「機種を絞り込んだ」と打ち明ける。「これまでは細かな差別化ポイントをハードウエアの作り込みや、特定のソフトウエアで行うのが業界の動きだった。しかし今や、多くの機能はOSが包含し、アプリが100万ほどそろっている。特定のニッチマーケット向けにカスタマイズする必要が無くなった。PCの流れと一緒だ」(同)と続ける。

 これらの発言からは、スマホが市場の主役となってわずか2年ほどで、スマホのコモディティー化が一気に進んだことを感じさせる。スマホのハード機能で差別化しユーザーに訴求できる時代は、もはや終わったのかもしれない。米アップルのiPhoneほどブランド力が効かないAndroid端末については、特にそれが顕著だろう。

代わりに浮上した「つながりやすさ」競争

 端末自体がコモディティー化し、どの機種もある一定の水準に達した今、各事業者の間で最も差別化しやすいのはスマホを支えるネットワークにほかならない。各社の夏モデル発表会で「ネットワーク」や「つながりやすさ」の訴求がポイントの一つとして急浮上したのは、そんな理由からだろう。