ずいぶん前に何かの本で読んで以来、忘れられない話があります。登場人物は、2人の幼い姉妹とそのお母さんでした。妹はよちよち歩き。お姉ちゃんは3歳くらいで、自分のことはなんとかできるけれど、まだまだ足元も手元もおぼつかないという年頃。妹ができて、張り切っていました。

 ある日、お姉ちゃんがダイニングテーブルに牛乳をぶちまけてしまいます。お姉ちゃんはビックリして大泣き。妹もつられて泣き出しました。お母さんは「ダメじゃない! 危ないでしょう!」とお姉ちゃんを注意して、お姉ちゃんの洋服やテーブルをタオルで拭きました。

 あとでお母さんが聞いたところ、お姉ちゃんは妹が可愛くて、世話を焼きたいあまり、牛乳をコップに入れてあげようとしたことがわかりました。しかし、3歳のお姉ちゃんはうまくできず、牛乳をどばーっとこぼしてしまった。お母さんは、お姉ちゃんがそんな気持ちだったとは知らずに「ダメ!」「危ないでしょう」と注意したことを反省した、という話でした。

 子どもが「誤ったこと」をしたとしても、そこには子どもなりの理由がある。ただ結果だけを見て、叱ってはいけない。これがこのお話の教訓です。