参議院選挙の投開票日が2013年7月21日となる公算が高まり、ネットを活用した選挙活動が動き始めた。各党がネットで広報するのに当たり、なりすましを防ぐ電子認証技術を導入したり、ネット上の誹謗中傷を監視するサービスを利用開始したりと、IT武装が急ピッチで進んでいる。

 自由民主党と公明党、民主党の3党は、6月下旬に配信する党のメールマガジンから、電子認証技術を導入した。また自民党は6月19日、ネット上の意見を監視・分析するチームを立ち上げた。

 ネット選挙活動の初本番となる今回の参院選を、ITベンダー各社もネット関連の「安心・安全」技術を広く知らしめる場にしようと意気込んでいる()。

表●ネット選挙関連のセキュリティ/誹謗中傷対策の主なサービス
表●ネット選挙関連のセキュリティ/誹謗中傷対策の主なサービス
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 例えば、自民など3党が採用したWebメールの成りすまし防止技術は、一般財団法人の日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が、ヤフーやニフティなどと共同で6月に提供開始したもの。Webメール限定だが、3党からのメールではヘッダー欄に「○○党が送信しました」と日本語で明記する。

 この仕組みでは、JIPDECが整備する認証済み団体リスト「サイバー法人台帳ROBINS」とドメインの認証技術「DKIM」を組み合わせて、送信元の確かさを保証する。これまで日本では、電子メールの認証技術の利用が進まなかったが、JIPDECは「メール受信ソフトで利用するS/MIMEも含め、今回の選挙を普及の契機としたい」と期待し、メール運営業者に採用を呼びかけている。

 また、GMOグローバルサインの無償の認証サービスを採用する動きもある。自民党、民主党、日本維新の会、みんなの党などが採用した。Webサイトで証明書を表示したり、電子メールに電子署名を付与したりしていく。GMOが政治資金規正法に則って無償にしたのは「認証技術を広く訴求したい」(GMOインターネットの熊谷正寿会長)との狙いからだ。

 同じく認証技術を訴求したい米シマンテック子会社の日本ベリサインも、共同通信デジタルと共同で、認証済みの政党・候補者サイトを紹介するサイトを公開した。

 誹謗中傷対策では、自民党はガイアックスやホットリンク、日本マイクロソフトなどベンダー6社と特別チーム「Truth Team」を編成。全立候補者79人と政党に対する書き込みを監視するほか、自党に関するネット世論を分析し、レポートする体制を整えた。

 分析結果を全候補者に日次で送信して役立ててもらうほか、誹謗中傷はすぐに該当候補者に知らせて相談に乗る。チームのトップを務める平井卓也衆議院議員は「今回の選挙は膨大な口コミ情報を収集できる絶好の機会だ。分析結果を政策にも反映していきたい」と語った。