米Red Hatは2013年6月11日から14日、イベント「Red Hat Summit 2013」を開催し、同社の戦略を発表した。オープンソースのクラウド基盤である「OpenStack」を中核に、コンピューター(OS、仮想マシン)、ストレージ、ネットワーク(SDN:Software Defined Network)を統合するというビジョンを描き、OSとミドルウエアのベンダーからクラウド基盤のベンダーに事業領域を拡大する方針を明確に打ち出した。

「OSSがイノベーションを先導」、Whitehurst CEO

写真1●米Red Hat社長兼CEOのJim Whitehurst氏

 「オープンソースソフトウエア(OSS)によるオープンイノベーションが技術革新を先導する時代になった」---Jim Whitehurst氏は基調講演で、クラウドがもたらしたイノベーションの変化をこう指摘した。「かつてOSSはプロプライエタリソフトウエアの再実装だった」(Whitehurst氏)。しかし、世界中から参加者が集まるオープイノベーションは、プロプライエタリなイノベーションを凌駕するようになった。「ビッグデータでは、イノベーションは先にOSSで起きている」とWhitehurst氏は言う。

OpenStackクラウド基盤を発表、「OSSがゲームのルールを変える」

写真2●米Red Hat 製品・テクノロジ担当上級副社長/社長 Paul Cormier氏

 同社はOpenStackクラウド基盤「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」と「Red Hat Cloud Infrastructure」を発表した。「すべてオープンソースソフトウエアで構成されており、ユーザーをロックインしない。Red Hatがエンタープライズが培ってきた信頼性やスケーラビリティをクラウドでも利用できる。そして競争力のある価格で提供する。“ゲームを変える製品”だ」と製品・テクノロジ担当上級副社長/社長 Paul Cormier氏は主張する。

「OpenStackでコンピュータ、ストレージ、ネットワーク統合」、CTO

写真3●米Red HatのCTO/ワールドワイドエンジニアリング担当Vice President Brian Stevens氏

 「コンピュータ、ストレージ、ネットワークを統合するアーキテクチャ、その答えがOpenStackだ」---CTO/ワールドワイドエンジニアリング担当Vice President Brian Stevens氏はこう語り、オープンソースのクラウド基盤であるOpenStackを同社の中核に位置づける姿勢を強調した。「コンピュータ、ストレージ、ネットワークはいずれも専用マシンから汎用マシンに置き換えられていく。それらを統合するアーキテクチャが必要だ。我々は今その答えを手にしている。OpenStackだ」(Stevens氏)。

「オープンハイブリッドクラウドを実現するミドルウエアを提供」

写真4●米Red Hat ミドルウエアビジネスユニット担当Vice President兼General ManagerのCraig Muzilla氏

 米Red Hat ミドルウエアビジネスユニット担当Vice President兼General ManagerのCraig Muzilla氏は「Red Hatはオープンハイブリッドクラウドを実現するミドルウエアを1社で提供できる唯一の企業」と主張する。ベンダーにロックインされないオープンな技術に基づいたオンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウド。それらを同時に利用し、負荷などに応じてアプリケーションが両者の間を自由に移動できる「オープンハイブリッドクラウド」。その実現にはオープンソースであり、ミッションクリティカルなシステムに利用される信頼性と、PaaSのプラットフォームにも利用できる軽量さを併せ持つソフトが必要と同氏は語る。

NTTがWebLogicからJBossへの移行を発表、支援ツールをOSSで公開へ

写真5●NTT OSSセンタ 主査 浦野将人氏

 NTTはRed Hat Summit 2013で、NTTグループでのWebLogicからJBossへのJavaアプリケーションサーバー移行事例を紹介した。移行支援ツール「TUBAME」を開発し、工数を約40%削減。TUBAMEは2013年夏にもOSSとして公開する計画という。