日経BP社が主催するクラウドとビックデータの展示会「Cloud Days 九州 2013/ビックデータ EXPO 九州 2013」が2013年6月18日、福岡・博多のFFB HALLで幕を開けた。主要なICTイベントが首都圏に集中する中、九州・福岡でクラウドとビックデータという2大技術の最新動向に触れることができるイベントだ。

 2回目となる今年は、昨年より12社多い46社が出展・協賛。20の基調講演とセミナーが催される。会期中1500人の来場者を見込む。

6月18日、19日の2日間にわたって開催されるクラウドとビックデータの展示会「Cloud Days 九州 2013/ビックデータ EXPO 九州 2013」
6月18日、19日の2日間にわたって開催されるクラウドとビックデータの展示会「Cloud Days 九州 2013/ビックデータ EXPO 九州 2013」
[画像のクリックで拡大表示]

 初日の基調講演には、地元の北九州で設立され、海外にも18カ国・35拠点を持つTOTOの取締役、中里晋一郎氏が登壇。同社のグローバル企業を目指す同社の長期経営計画「TOTO Vプラン2017」におけるクラウドの役割について語った。

 TOTO Vプランは、2017年に創業100年を迎えるTOTOが国内、海外、そして新領域の3つの柱で進める成長戦略フレームワーク。2009年に立てたもので、上記の3事業の共通基盤として、マーケティング、サプライチェーン、ものづくり、マネジメントリソースの4分野について改革を行うことで業績改善と環境貢献を進めるものだ。それらを支えるのが、情報部門の構造改革となり、クラウド化は、保守・運用部門のアウトソースによる人材の有効活用、システム統合による保守運用費削減と並んで3つの具体的な対策となる。

TOTO 取締役 中里晋一郎氏
TOTO 取締役 中里晋一郎氏
[画像のクリックで拡大表示]

 クラウド戦略はトライアルしながら進めている。コールセンター業務でのコールログのみでSalesforce.comを導入するなど、様子を見ながら拡大してきたという。海外拠点ではメール・コミュニケーション・システムとして「Google Apps」を導入し、わずか3カ月でシステムを立ち上げた。最終的には、販売、物流、基幹システム、生産管理、コミュニケーション、設計など同社を支えるシステムの80%以上を2018年までにクラウド化していく計画という。

 中里氏は事例として、全国100カ所以上のショールームで利用しているBtoBtoCアプリケーション「e-PRE」を紹介した。訪問した顧客に担当員がコンサルティングをしながら商品イメージを提案するシステムだ。今後クラウドを活用したいアプリケーションとしては、開発プロセスでの流体解析を利用したシミュレーションを挙げた。陶器の試作にかかるコスト削減につながることを期待できるというのが理由だ。このようなシミュレーションでのクラウド利用はメーカーに長所が多いとの見解を示しながら、「競争領域に情報部門が入っていくことが今後大切になってくる」と中里氏は述べる。そして、「競争領域、非競争領域でバランスをとりながらクラウド化を進めていくことが重要」と続けた。

 このほか、初日の18日にはクラウド活用事例、アマゾン データ サービス ジャパン、ニフティ、EMCジャパンなどのベンダーによるセミナー、ビックデータに関するパネルも開かれる。2日目の19日午前10時からは、同じく地元の西鉄グループの西鉄情報システムのソリューション本部部長、浦正勝氏が、交通ビックデータ活用基盤をテーマに基調講演を行うことになっている。セミナーでは、サイボウズ、日本マイクロソフト、丸紅情報システムズなどのベンダーによる最新技術の紹介、自治体におけるクラウド活用や日本セキュリティ監査協会によるセキュリティに特化したセッションも予定している。