写真●ブラマンテの田島弓子代表取締役社長
写真●ブラマンテの田島弓子代表取締役社長
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 「会社からお給料をもらっている会社員がやるべきは、与えられた仕事をこなすこと。仕事のやりがいや面白さは与えられた仕事から見いだすもの」

 「どんなに退屈でつまらなく思えても、まずは、目の前の仕事に全身全霊で打ち込んでみてほしい。アドレナリンが全開になるくらいに。きっと、面白味が見つかるはず」

 「仕事にハマること自体がとても楽しい体験なのだから。一つひとつの仕事に没頭することを積み重ねるうちに、キャリアは作られていく」

 やりたい仕事に就けそうもない、やりたい仕事がわからないと悩む就活学生、あるいは、思っていた仕事と違う、仕事がつまらないと嘆く新入社員が、ブラマンテの田島弓子社長の言葉を聞いたなら、目から鱗が落ちる思いがするのではないだろうか。

 今をバリバリ働くビジネスパーソンも、田島氏の言葉に励まされるだろう。実態はともかくとして、ワークライフバランスやイクメンなど、余暇や家族との時間を肯定する言葉は巷にあふれているのに、仕事に没頭する会社員を励ます言葉はなかなか見つからない時代だからだ。

 新入社員の頃は自身のキャリアプランを明確に思い描いていたが、いつの間にか全く違う道を進んでいる。そんな不安に駆られる人に対して、田島氏はこう語りかける。

 「学生の頃に思い描いたキャリアプラン通りに、ことが運ぶなんて、めったにありません」

 田島氏は外資系IT企業に入り、年間数百億円を売り上げる営業部の部長を務めてから独立し、個人や企業向けにキャリア支援を手掛けるブラマンテを設立した。

 田島氏自身、社会人になる前には、頭の中に、外資系もIT業界も起業も一切無かったという。社会人になってから、目の前にある仕事に全力で打ち込んできた結果が田島氏のキャリアになっている。

 キャリアについて考えすぎるあまり、不安になる必要はない。今、目の前の仕事に打ち込むことが正解という田島氏の主張は、さらに多くの社会人に受け入れられていくのではないか。


羽野三千世
ITpro
 2008年10月からITproに在籍。担当分野はエンタープライズIT全般。猫好き。