NTTデータは開発の自動化を積極的に進めている。背景にあるのが情報システム再構築の新たなトレンド、「アプリケーションモダナイゼーション」だ。レガシーシステムの移行に当たり、既存のアプリケーションをそのまま利用して新しいシステム基盤上で稼働するようにすれば、レガシーマイグレーションのコストは安くなる。

写真1●NTTデータ技術開発本部ソフトウェア工学推進センタの冨安寛センタ長

 このため「我々ITサービス業界が投資をして状況を変えないといけない」とNTTデータ技術開発本部ソフトウェア工学推進センタの冨安寛センタ長は話す(写真1)。

 レガシーマイグレーションに費用がかかっているのはソフト開発に人海戦術を取らざるを得ないためだ。

 人海戦術に頼らない開発技術を実現できれば、既存の「塩漬けシステム」を救うことにつながるばかりではなく、新たに開発するシステムを構築する際にも有効だ。同センタは、現行システムの解析の自動化から始まって、設計の自動化、コーディングの自動化、テストの自動化を対象に自動化技術の開発を進めている。

 開発の自動化は、レガシーマイグレーションだけでなく、開発スピードを上げてグローバル競争に勝つためでもある。NTTデータは、グローバルなITサービス企業として「トップ5」の座を獲得することを目標に掲げ、M&Aを軸にグローバル市場へとビジネスを広げている。ライバルとなりうるのは中国のIT企業で、アジャイル手法による短期開発に取り組んでいるだけに、目が離せない。

 「まだ日本のソフトウエアの品質は高いが、グローバル市場では品質を保っていかに短期間で開発するかが競争力のポイント」(冨安センタ長)と品質とスピードの両者で優位に立つことを目指す。05年に同センタが発足して以来、ソフトウエア開発の自動化など同社のR&D投資は年々増加し、現在は年間30億円を投じている。