ヒューマンエラーをゼロにするには、ハードウエア対策やソフトウエア対策に加えてヒューマンウエア対策が非常に重要だ。総合的に、この三つの対策に取り組む必要がある。では、具体的には何をすれば良いのか。取り組み事例の紹介とポイントを解説していく。


 連載の第1回では、「ハードウエア対策・ソフトウエア対策・ヒューマンウエア対策」という、総合的に三つの対策に取り組むヒューマンエラーゼロ活動を紹介した。「ヒューマン・エラー・ゼロ」それぞれの頭文字を取り「HEZ(ヘズ)」と呼んでいる。

 第2回では、ヒューマンエラーをゼロにするための、主にヒューマンウエア対策の部分について、CTCテクノロジー(CTCT)が実施している具体的な活動内容を紹介する。

基本理念は3原則

 ヒューマンエラーをなくす上で大切なのは、「ゼロの原則」、「先取りの原則」、「参加の原則」の3原則である。

 まず「ゼロの原則」とは、事故や障害を「○%」削減するという目標ではなく、常にゼロを目指すということだ。加えて、やると決めた事柄は全員が100%実行する。一人でもやらない人がいたり、一回でもやらなかったりして、そのために事故や障害が発生したら目標達成率は0%と同じであるという考え方である。

 二つめの「先取りの原則」とは、事故・障害に至らなかった「ヒヤッとした」「ハッとした」事象(ヒヤリハット)に着目し、真の原因を明らかにして確実な対策を事前に打つことである。

 ヒヤリハットで有名なのが「ハインリッヒの法則」だ。1件の重大な事故・障害の背後には29件の軽微な事故・障害があり、その背景には300件のヒヤリハットが存在するという法則である。顕在化した1件、29件の対策を講じるのは当然のことだが、顕在化していない300件のヒヤリハットにも着目し、対策を打つことが大切である。

 最後の「参加の原則」とは、全員で活動をしようということだ(チームワーク)。現場のエンジニアだけではなく、サポートエンジニア、開発、営業、総務、経理など各部門の全員が参加し、一人ひとりがヒューマンエラーゼロを目指そうということである。