前回は(1)「老化は成長の延長線上にある」、(2)「資産は時間とともに負債化する」という点について解説しました。今回は、会社の成長がある段階から否定的な方向に働き始める別の例を紹介します。それは「仕事の組織化」です。

 スタートしたばかりの企業は良くも悪くも仕事が特定の個人にひもづいています。起業時のアイデアや人脈というのは、創業者の個人的な能力によるものが大部分を占め、日々のオペレーションも「その人が抜けたら仕事が回らなくなる」というように、ごく少数の人たちの「属人的な」パワーによって支えられています。

組織化とは「交換可能」にすること

 こうした状況は会社がある程度の規模になると対外的にも許容されなくなります。ある程度外部からの信頼を得るためには、仕事が特定の個人に依存するのではなく「組織的に」対応することが求められるからです。

 いつまでも「○○さん依存」だけの会社では組織としての体をなしていないと思われるために、立ち上げ期の会社が次に「一人前」になるためにすることがこの「組織化」になるわけです。

 チェックリストの項目「仕事は誰がやっても同じアウトプットが出るよう『組織化』されている」がこれに相当します。これはもちろん立ち上げ期の会社が一人前になる成長過程においてはプラスに働く要素ですが、ある時期をすぎるとここにも「資産の負債化」という負の側面がセットでついてきます。