ミャンマーは、「アジア最後の通信ネットワークと携帯電話マーケット」としてアジアのみならず世界中の通信事業者や携帯電話メーカーが進出を狙っている。

図1●ミャンマーの携帯電話普及率の推移(単位は%)。世界銀行の統計調査から
図1●ミャンマーの携帯電話普及率の推移(単位は%)。世界銀行の統計調査から
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写真1●まだ普及率は低いものの、スマートフォンに関心が高まりつつある
写真1●まだ普及率は低いものの、スマートフォンに関心が高まりつつある
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写真2●サムスンの広告はヤンゴン市内のいたるところでみられた
写真2●サムスンの広告はヤンゴン市内のいたるところでみられた
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 世界銀行の2010年の統計調査だが、このときミャンマーの携帯電話の普及率は1.24%しかなかった(図1)。当時でも、隣国のラオスの普及率は64%、カンボジアは57%で、タイやマレーシアでは100%になっていたから、ミャンマーは同地域でも非常に遅れているといえる。

 現在、ミャンマーでの通信料金を所得と比較すると非常に割高で、通信網も不安定な状況といえる。政府としては2016年までに携帯電話の普及率を80%まで引き上げる目標をかかげている。ミャンマーは開拓しがいのある国と言ってよい(写真1、写真2)。

 ミャンマーの場合、実は固定電話の普及も遅れている。ヤンゴンとマンダレーの大都市圏でさえも普及率は5%程度しかないといわれている。

 地方に行くとほとんど普及していないようだ。現地の人に聞くと、固定電話の回線を引くために時間がかかり年収の数倍の費用がかかるという。

 固定電話をもっている家は、いわゆる「近所の公衆電話」としての商売も可能だという。実際、ヤンゴンなどで街中ではテーブルに固定電話を置いた即席の「公衆電話」があり、使用時間により課金しているのを見かけた。現在は、自宅の固定電話でさえ「通信インフラ」商売として成り立っているようだ。

 ただしミャンマーでは、これまで日本円で数万円もしていたSIMカードが、ここ最近一気に150円まで値下げされ、大きな話題になっていた。もちろん現地の一般的な月給が7000~1万円なので、数万円もするスマホタイプの携帯電話はまだ高値の花だろう。しかし今後は参入企業が増え、通信インフラ整備が進むとともに、急激に安くなるのではないか。