2012年に衆議院議員を引退した与謝野馨氏は、政界きってのコンピューター通であり、自作PCマニアでもある。代議士という職業からは想像しづらいが、PCを自作する時間を競う「ニコニコ動画」のイベントに出演するなど、自作PC業界を盛り上げるのに一役買った。
「初めてPCを自作したのは1999年。それから年に1~2台のペースで、計20台以上は作りましたね」。
都内にある事務所で取材に応じた与謝野氏は、この日のために自宅から運んできた自作PCの脇で気さくに話し始めた。
PCを自作するようになったのは、デジタルカメラで撮影したデータの編集や管理がきっかけという。カメラにも詳しい与謝野氏は、立候補した知人の選挙用ポスターの写真撮影をボランティアで請け負う腕の持ち主だ。
「1999年に使っていたIBM製のPCでは、デジカメのデータを手軽に編集したり管理したりするだけの性能が無かった。当時、高速なメーカー製ワークステーションもあったが、高くて気軽に買えない。高速なPCを安く手に入れたくて自作したんです」。
十数年前と比べメーカー製PCの値段がぐっと下がった今、PCを自作するコストメリットは薄れつつある。
それでもなお自作し続けている理由を尋ねると、「完成した直後に電源を入れ、ディスプレイにBIOSの画面が正常に表示されたときが一番うれしい。土にまいた植物の種が芽を出したような、ほっこりした気分になるんです」と即答する。
PCパーツ類は、東京・秋葉原などのパーツショップに自ら出向いて買っている。「目新しいパーツが発売されると、新しいPCを作りたくなる。パーツの買いすぎで、家族にはあきれられています」と笑う。
「次は、デジカメデータを長期保存できるPCが作りたい。6台ぐらいのHDDでRAID構成にするのが目標」と意気込みを語ってくれた。
日経WinPC編集