Ethernet AVBの現行仕様は、情報系での利用が可能な一方で、制御系に用いるにはリアルタイム性やフェイルセーフの点で「難がある」(トヨタ自動車)。そこで、2014年以降に策定完了予定の次世代仕様で、改善を図ろうとしている。

 例えば、トヨタ自動車はルネサス エレクトロニクスと、AVnu Allianceの主要企業であるBroadcom社と共に、車載用途に向けた要件をホワイト・ペーパーとしてまとめてAVnu Allianceに2011年春に提出した1)
 参考文献1) 田野倉,「トヨタが車載Ethernetを採用へ,標準化活動も戦略的に開始」,『日経エレクトロニクス』,no.1059,2011年6月27日号,pp.10─11.

 同ペーパーでは、遅延時間に関して、3ホップで100μs以下という要件を出している。ホワイト・ペーパーの内容のうち、リアルタイム性に関してはIEEE802.1に提案済みで、「IEEE802.1Qbv」として制御系要件に耐えうる技術の標準化が始まっている。現在は3ホップで100μs以下ではなく、「7ホップで100μs以下」(ルネサス エレクトロニクス)の実現を目標に、議論中だという注1)

注1) IEEE802.1Qbvは仕様策定後、Ethernet AVBの規格群の一つになる予定だ。

 一方、Ethernet AVBの現行仕様には「フェイルセーフに関する規定はない」(ルネサス エレクトロニクス)。そこで、まずはフェイルセーフに対する要件を盛り込むことを目指している。具体的には、7ホップのネットワークにおいて、一つの経路、あるいは一つのポートに障害が発生した場合に、70ms以下で復旧させることを目標に掲げているという。トヨタ自動車によれば、ホワイト・ペーパーのうち、フェイルセーフについてBMW社が、リアルタイム性についてGM社が関心を寄せているとする。
(続く)