企業がFacebookを、マーケティングの中のコミュニケーション戦略に位置付けて活用するようになってから数年が経過した。海外、特に米国では、もはやFacebookページを開設していない企業の方が珍しいと思えるほど、Facebookページによるコミュニケーションが一般化しつつあるようだ。

 こうして多くの企業がFacebookページでコミュニケーションをとるようになると、運営担当者は、自分たちのFacebookページから発信されたメッセージが、どれだけ広範囲にかつ確実にユーザーのもとに届いているが気になってくる。実際Facebookページ運営の有力なKPI(重要業績評価指標)として、(直接的にメッセージが届くであろう)ファンの数や、個々の投稿における「いいね!」またはシェアの数が主要な指標として位置付けられてきた。少なくとも競合他社のそれよりは、高い値を残したいというのが本音だろう。

 こうした背景がある中、担当者はこれまで「どうすれば、自分たちの投稿が、一人でも多くのユーザーの目に触れるか」といった法則性を見出すために、試行錯誤してきた。もちろんこれはFacebookページでの投稿への「リーチ」は、単に「ファン数」とイコールになることはない、つまり「自分たちの投稿がファン全員に見られることはない」という前提が存在している結果でもある。

 こうした仕組みは「エッジランク」と呼ばれている。最近は、この「エッジランク」がいっそう重要になっていると言われている。

 「エッジランク」を一言で説明すると、各ユーザーのニュースフィードに表示される投稿を、Facebook側で自動的に絞り込むシステムである。Facebookはこの「エッジランク」を使ってエンゲージメントを最適化すると同時に、スパムを最小限に抑えていると言われている。この「エッジランク」が強く働いたことでFacebookページから「無料で発せられた投稿」へのリーチが大幅に落ちたとも指摘されている。

 海外の一部のマーケッターたちからは「Facebookユーザーのニュースフィードに自分たちの投稿を確実に流すのは、もはやハーバード大学に入るよりも難しい」というぼやきも聞こえている。リーチを確保するためには、広告などの有償機能を利用しないといけないのではという推測も広がっているようだ。