前回は海外のミュージシャンのファンサイトの事例を取り上げた。デジタルを使いこなすミュージシャンならではの工夫が色々なところに見られ、ファンとミュージシャンの新たな関係性を感じさせるサイトになっていることを紹介した。

 今回も海外のWebサイトの事例を取り上げる。エンジニア向けのQ&Aサイト「Stack Overflow」は、2008年に立ちあがったサイトで、スタート当初からバッジ、カルマ(サイト内経験値のようなもの)などゲーミフィケーション的な要素がいくつか設けられていた。現在も非常に活発なコミュニティが形成されている。このサイトでどのような仕掛けがあるのかを見ていこう。

 サイトにアクセスするとこのようなページ(写真1)が表示される。多くの質問が並んでおり、各質問に3つの数値が付けられている。これらの数値は、その質問がどのくらい「投票されたか(vote)」「回答が付いているか(answer)」「見られたか(view)」ということを示している。

写真1●エンジニア向けのQ&Aサイト「Stack Overflow」
写真1●エンジニア向けのQ&Aサイト「Stack Overflow」
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 投票は「いいね」のようなものだと考えればいいだろう。これは質問だけでなく、回答に付けることもできる。投票に「+1」する基準が提示されていて、質問の場合は「質問に際して十分調べられており有用で明確である」となっている。回答の場合は「役に立った」となっている。興味深いのが、投票に「-1」もできるようになっている点。この基準は、質問の場合は「自分で調べた様子がなく、役に立たないか分かりにくい」、回答の場合は「役に立たない」となっている。

 このように、このサイトでは質問や回答に対して様々な形でフィードバックができるように作られており、数値による可視化が至るところに散りばめられている。フィードバックの基準もエンジニアの気持ちをよく理解していることが感じられる。