スマホファーストの利点や勘所は、タブレットを活用するケースにも当てはまる。タブレット活用でビジネスを一新させたのが、中古車買い取り・販売のカーセブンディベロプメントとガリバーインターナショナルだ。

 カーセブンでは、中古車の査定業務で、スマホファーストのコンセプトを取り入れた。

 同社は全国192拠点のフランチャイズ店向けに、中古車の出張査定用のアプリを開発。従業員が売り主の元に出向き、どこでも査定が可能となる。車検証のQRコードを読み取り車種や型式などを自動判別したり、中古車の条件などを入力することで参考となる査定額を表示したりする。PCを用いたシステムで、ここまでの機動性を発揮するのは難しい。

 同社はこのシステムで仕入れた中古車を海外の自動車販売店などに直接流通させる計画であり、アプリで登録した中古車は海外の提携店舗でも即、在庫検索できるようになる。「スマホが海外販売の窓口になる」(コーポレートマネジメント&プランニンググループの飯塚誉規シニアマネージャー)。

顧客をプロセスに組み込む

 営業担当者が行っていた顧客からの要望聞き取りや店内の案内、おすすめ商品の紹介などをタブレットの機能に置き換えようというのが、中古車買い取り・販売のガリバーインターナショナルだ。

 同社は従業員向けにこれまで8~9件の業務アプリをリリースしてきたが、「スマホやタブレットを従業員が使うだけではもったいない。顧客にも使ってもらえれば、顧客自身を業務の自動化プロセスの中に組み込むことができる」と、椛田泰行クラウドプロジェクトリーダーは説明する。

 その姿を見られるのは、2012年7月にオープンした新業態の販売店「ワオタウン(WOW !TOWN)」だ。ここではタブレットを営業スタッフに代わる店内の案内役に位置付けている(図1)。独自開発したアプリを入れたiPad miniを来店客に手渡す。目指したのは「スタッフがいなくても、顧客がアプリを使うことで中古車が売れていく“全自動販売システム”だ」(椛田リーダー)。

図1●ガリバーの中古車見学支援システムの仕組み
図1●ガリバーの中古車見学支援システムの仕組み
来店者が展示場内を自由に見学。気になった中古車があると、タブレットを使ってQRコードを撮影し、あとから詳細な情報を確認できるようにした
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