日本医療機能評価機構によると、2011年に発生した医療事故のうち、最も多かったのが転倒で、実に24%を占める。足腰の弱った患者がトイレに行く時などに、看護師を呼ばずに転倒するケースが多いという。センサーを使って転倒事故を減らし、シェアを高めようとしているのがフランスベッドだ。

 フランスベッドは2013年2月、4本の足に荷重センサーを内蔵したベッド「見守りケアシステムM-1」を発売した(写真1)。患者が起き上がったり、腰掛けたりする動きを感知し、事故のリスクがある場合に看護師に警告する。

写真1●フランスベッドが開発した医療用ベッドと専用リモコン
写真1●フランスベッドが開発した医療用ベッドと専用リモコン
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 多くの病院では、ベッド脇にマット型センサーを置き、患者の動きを感知するのが一般的だが、「患者が飛び越えようとして怪我につながる」(フランスベッド)という問題があった。配線も事故の原因になり得る。ベッド本体にセンサーを取り付けることで、こうした問題を解消する。

 新開発のベッドは、70万円程度で販売する。従来品と比べ20万円ほど高いが、「看護師の負担を軽減でき、病院運営の効率化につながることから需要が見込める」(同社)。ITを武器に、医療用ベッドで首位を走るパラマウントベッドを追撃する。