インターネット関連をはじめとする新興企業の急速な台頭やかつてないほどのグローバル化への要請、そして従来は考えられなかった企業間の競争や合従連衡など、IT(情報技術)の進化が企業のビジネス環境を大きく変化させています。それらの動きを加速させているのがソフトウエアです。様々なサービスやビジネスを相互に結びつける役割を果たしています。

 こうした地殻変動の中でシステム開発の現場も変わり始めています。企業のビジネスに新たな価値を創り出して持続的な成長を助ける役割が、これまで以上に求められます。

 これまでにない、急速な変化に直面している企業は、顧客ニーズや市場のニーズをできるだけ早く効果的に取り込みながら、新しいアプリを開発・改善することを求められています。開発の現場も変化に即応した「フィードバック」モデルに対応することが大きな課題になっています。

業界を超えてスタートアップ企業と競争する時代

 ECサイトや検索サービスを起源にする米Amazonや米Googleは、ここ数年のスマートフォンやタブレットの急拡大の波に乗り、「Kindle Fire」や「NEXUS」といった端末を提供するビジネスを全世界で展開しています。成長分野に積極的にかかわる貪欲な事業展開によって、かつての“スタートアップ企業”は、総資産で日本のメーカー各社を抜き去り、さらなる成長を続けています。

 日本国内でもソーシャルネットワークサービスや、レシピサイト、IP電話サービスなど、数年前にはユーザー数が少なく規模も小粒だった企業が、今や数億、数百億円規模の売り上げを獲得している事例が多くあります。

 米国では近年、小売・サービス事業者が使うクレジットカード決済端末として、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末をそのまま利用するケースが増えています。決済手数料が安いことはもちろん、アプリケーションや専用のカードリーダーが無料になったことが背景にあるようです。

 この契機となったのは、数年前にシリコンバレー発のベンチャー企業が、小型のカードリーダーをモバイル端末につなぐというビジネスモデルを展開したことでした。そのあと大手の決済サービス事業者が追随したことで、またたくまに熱気のある市場へと成長しました。

 この端末は、小規模な店舗やタクシーといった、これまで専用のカード決済端末を導入してきていない事業者から普及が始まりました。最近では、かんたんな決済機能というとらえ方だけでなく、大手のコーヒーチェーンが顧客向けのマーケティングツールとして活用する例も出てきているほどです。