ここからは、スコラ・コンサルトの柴田昌治氏が行き着いた組織風土改革の手法を紹介していく。3つめは、部下を主役にする「スポンサーシップ」だ。

スコラ・コンサルトによるスポンサーシップの解説

 協力して根本的な問題解決ができるチームワークに価値を置き、メンバーの内発的動機を引き出して、部下が主役になり得る環境を作るリーダーシップのこと。

 1.安心の足場となるセーフティーネットを作る、2.目指す姿を示して共有する、3.対話で一緒に答えを作る、4.当事者としての姿勢と自己革新、の4つの機能が必要になる。第1の機能は、問題に気づいた人が安心して解決の一歩を踏み出せる環境を作ること。経営や上司、仲間に「必ず協力してくれる」という信頼感を持てる状態がセーフティーネットになる。

 第2の目指す姿を描くこと自体はさほど難しくないが、共有するのは容易ではない。メンバーが自分で考えて、各論を作り込んでいく必要がある。それには変革の目的や意味を腹の底から共有しておくため、第3の一緒に答えを作っていく対話が欠かせない。「自分の考えは絶対ではない」という前提で対話を積み重ねていく。

 第4に自らが当事者として学ぶ姿勢を示すと、部下も本気になる。部下を変える前に、トップや上司の心に火がついているかどうかが問われる。普段言っていることとやっていることを一致させ、本気で努力している姿が部下の心に火をつける。

 社員が安心して何でも言い合える環境は、経営者や現場のトップの理解なくしては作り得ない。第2回の表にまとめた5社に共通するのは、トップがオフサイトミーティングやジブンガタリの体験者であり、自身で広めていることだ。ブレずに組織風土改革のスポンサーシップを発揮している。スポンサーシップは経営者が先頭に立って、私についてこいと引っ張るタイプのリーダーシップとは異なる。