NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話事業者3社から、2013年夏モデルとなるスマートフォンや関連サービスが発表された(写真1)。第1回は、各社の発表内容を振り返りながら、全体的なトレンドを読み取っていこう。

写真1●携帯電話事業者3社が夏モデルを発表
写真1●携帯電話事業者3社が夏モデルを発表
左からソフトバンクモバイルの孫正義社長、NTTドコモの加藤薫社長、KDDIの田中孝司社長
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ドコモ、KDDIは端末数を絞り込み、より選びやすく

 これまでの携帯電話事業者の発表会といえば、多数のスマートフォンやフィーチャーフォン、データ通信端末などを一挙に発表するのが通例だった。しかし2013年夏モデルの発表ではその傾向に変化が見られた。特徴的な点として、NTTドコモとKDDIがスマートフォンの機種数を大きく絞り込んできた点が挙げられる。

 夏モデルで最も話題となっているキーワードのひとつが、NTTドコモの「ツートップ」だ(写真2)。今回、NTTドコモが発表会において韓国サムスン電子の「GALAXY」とソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia」の新機種を中心に据えることは事前に予想されており、前回の春モデル発表会における“一押し”に似た扱いになるとみられていた。

 しかしフタを開けてみれば、ツートップは夏モデルのスマートフォン9機種を代表する「顔」として使われるだけでなく、月々サポートや割引キャンペーンによって販売価格の面でも優遇するという、思い切った施策となっていた。

写真2●NTTドコモの夏モデルの中心は「ツートップ」
写真2●NTTドコモの夏モデルの中心は「ツートップ」
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写真3●KDDIはスマートフォンの夏モデルを4機種に絞り込んだ
写真3●KDDIはスマートフォンの夏モデルを4機種に絞り込んだ
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 ツートップについて、加藤社長は「販売数量で3桁は行きたい」と語っており、ツートップ以外の夏モデルと差が付いても構わないと公言する。以前NTTドコモからは「GALAXY S III」が100万台を超える大ヒットとなっているが、「3桁」という表現から、ツートップにはそれに匹敵する販売台数が期待されていることになる。夏モデルはまだ未発売の機種も多く、販売台数は分からないものの、ツートップに選ばれなかったメーカーにとっては存亡の危機となる可能性もある。

 一方、KDDIは2013年夏モデルのスマートフォンを4機種に絞り込み(写真3)、フィーチャーフォンやデータ通信端末は発表しなかった。この点について田中社長は、夏商戦では絞り込んだものの、秋冬ではフィーチャーフォンを含め、様々な端末を検討していく意向を示している。