日本経済の景況感は上向きつつあるが、少子高齢化などの根本的な問題が解消されない限り、中長期的には国内市場が縮小していくことは明らかだ。企業を持続・成長させ続けるには、事業のグローバル化は避けて通れない。当然、システム面でもグローバル化への対応が迫られる。今回は「企業IT動向調査2013」の調査結果から、企業情報システムをグローバルに展開するために必要なIT推進体制や人材育成などの動向を探っていこう。

半数の企業が既に海外進出

 まずは事業におけるグローバル化の実態を把握しておく。本調査の対象は、東証1部上場企業とそれに準じる企業である。このクラスの企業では、約半数(53.8%)が「既に海外進出している」、4.8%が「今後、海外進出を予定している」という状況だ(図1)。これらの数字は、1年前の調査結果とほぼ同じである。

図1●ビジネスのグローバル化の状況(業種グループ別)
図1●ビジネスのグローバル化の状況(業種グループ別)
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 業種グループによって、海外への進出状況は大きく異なる。「既に海外進出している」割合が高いのは製造業だ。機械器具製造は75.8%、素材製造は72.5%だった。この二つが平均値を押し上げており、それ以外の業種グループは、平均値を下回る。最も低かったのが金融(24.6%)である。

 「今後、海外進出を予定している」割合だけを見ると、サービス(7.4%)や商社・流通(6.4%)などの業種グループが高い。これらの業種グループでは、海外拠点の業務管理などに使うシステム投資が活発化するだろう。