写真●通学途中の大学生が熱中するゲームLINEPOP

 前回からの続きで、2012年11月に筆者が大阪府の小中学生2592人に実施した「スマホ・ケータイ・アンケート」から見えてきたことを紹介する。今回は「部活動」「朝食の有無」などについて見てみたい。

 読者から「スマホだけが原因か?」という指摘があったが、もちろん、すべての原因がそこにあると特定できないし、するつもりもない。ただ言えるのは、「『スマホ使用者』に何かが起こっている」ということ。これを問題提起と位置づけ、原因や対策についても考えていく。

スマホと部活動への参加

図1●「部活に参加しない」中学生

 中学生のうち「部活に参加しないことがある」と答えた生徒の割合を「携帯電話不所持」「ガラケー使用」「スマホ使用」で分けて比べてみた(図1)。すべての理由や原因を特定できてはいないが、「スマホ使用」の学生が部活動に参加していない割合が高いことが明らかになっている。

 この結果に対する、中学生の分析は以下の通りだ。

 「家に帰って、スマホのゲームとかする方が、部活より楽しいんじゃないかな」

 「部活って走ったりしんどいけど、スマホは楽しいことだけできるから楽だし、スマホでゲームとかしてたら、友達も増えるから」

 「スマホで、趣味が共通している友達がネット上で見つかったりして、良いこともたくさんある」

 「部活動には先輩とかややこしいこともあるけど、スマホの中は友達だけだからとても楽」

 「リアルの友達とはけんかしたりするけど、ネット上はいやになったらすぐ離脱できるし、めんどくさいことないし。時々炎上とかもあるけど、ちょっと気をつけたら大丈夫だし」

 これらの言葉を聞く限り、「スマホ使用」で「部活をしない」中学生は、部活動よりもスマホを選んでいる可能性が高いといえそうだ。私たち親世代の多くがあれほど熱中した学生時代の部活動が、スマホにとって代わられ始めているのだとしたら深刻な状況である。

 部活動には、過酷な側面がある。特に運動部は、下級生の間は黙々と走らなければいけないし、年が1つか2つしか変わらない先輩に敬語を使わなければいけない。顧問の教師にも気を遣わないといけないし、熾烈なレギュラー争いにも直面する。今、教育の現場では「教室内(スクール)カースト」(光文社刊)という書籍が話題になっているが、部活動は序列の最たるものといえる。

 人間関係も体力も過酷な部活動をするよりも、楽しくてゆるいつながりでできるネットやゲームに“逃避”している中学生が少なくないと推測できる。その入り口になっているのが、ネットに簡単につながることができ、さまざまなアプリやサービスを提供してくれるスマホだとすると、親としては冷静にその功罪を考えておく必要がある。