インターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法改正法案が2013年4月19日、参議院本会議で可決、成立した。

 改正前の公職選挙法では、選挙運動で頒布できる「文書図画」は、法律で定められたはがきやビラに限られており、Webサイトなどパソコンやスマートフォンの画面に表示される「文書図画」は、選挙運動で使うことができなかった。それが今夏の参議院議員選挙からは、Webサイトやブログ、FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャルネットワークシステム)を使った、いわゆる「ネット選挙」が解禁されることになった。

 ネット選挙はインターネットが広く普及して以来、長年議論されてきた問題である。ネットを利用する人と利用しない人の間で情報格差が生まれる“デジタルデバイド”などを理由に慎重な意見もあったが、紙の印刷物に比べて安価かつタイムリーに様々な情報を有権者に届けられるメリットを評価する声が大勢を占めるようになり、今春の法案可決となった。

ソーシャルメディア活用やなりすまし対策にビジネスチャンス

写真●公明党が開催したWebなりすまし対策 学習会
写真●公明党が開催したWebなりすまし対策 学習会
[画像のクリックで拡大表示]

 ネット選挙の解禁を受けて、各政党は早速、無料通話・メッセージアプリの「LINE」やミニブログの「Twitter」にアカウントを登録した。このうち、LINEのアカウントは今夏の参議院議員選挙までの期間限定で無償(モニター)提供されたもの。LINEを提供する株式会社LINEでは、選挙終了後に公式アカウントの有償提供を検討する予定だという。ガイアックスのように、ネット選挙におけるソーシャルメディア活用の支援サービスに名乗りを上げるベンダーも登場している。

 このほか、ネット選挙で大きな問題となる、第三者によるWebサイトの「なりすまし」や改ざん防止のためのセキュリティ製品やコンサルティングサービスを売り込む動きも活発化している。限られた選挙期間中に「なりすまし」のWebサイトから誤った情報を流布されると、取り返しのつかないことになるからだ。

 すでに自民党や公明党は、党本部および一部の所属議員のWebサイトに日本ベリサインのEV SSL証明書やWAF(Web Application Firewall)の導入を決定。公明党では、先週の5月15日と16日の2日間にわたって、ネット選挙に備えたセキュリティ対策の勉強会を開催した(写真)。