米グーグルが2013年5月に開催したイベント「Google I/O」で、アプリケーション開発者支援策の強化を発表した。「Android」用のアプリ開発を容易にする専用開発ツール「Android Studio」などを提供することで、アプリ開発者を自社プラットフォームに引き寄せることが狙いだ()。

表●「Google I/O 2013」で発表された開発者向けの主な施策
表●「Google I/O 2013」で発表された開発者向けの主な施策
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 グーグルのAndroidは、端末のシェアでは米アップルの「iOS」を大きく上回るが、アプリストアである「Google Play」でのアプリ配信数は、アップルの「App Store」を下回る模様。グーグルはAndroid向けアプリ開発を活性化するために、Android向けアプリの開発コストを引き下げる施策に取り組む。

 Android Studioは、Androidアプリの開発コストを高める原因となっていた「様々な画面サイズ、解像度への対応」を容易にする。開発中のアプリを様々な画面サイズの端末上で動かした際に、見た目がどのように変化するのかを、開発ツール上でプレビューできるようにした。使用する言語を変更した場合の見た目も、開発ツール上で確認できる。Android Studioは、開発者に無料で提供する。

 アプリ開発者がアプリを公開・販売する際に使用する管理コンソール「Google Play Developer Console」の機能も強化。開発中のアプリを特定ユーザーに限定してテスト公開する機能や、グーグルと提携する翻訳会社に対してユーザーインタフェース(UI)の多言語化・翻訳を依頼する機能などを追加している。

 次世代Webアプリの開発に関しても施策を発表した。グーグルは現在、WebアプリのUIをコンポーネント(部品)化する技術を「Web Components」として標準化しようとしている。UIが部品化されると、アプリ開発者はUIの再利用や改修を容易に行えるようになる。グーグルは今回、Web ComponentsのUI部品を使いやすくするフレームワークである「Polymer」を発表した。

 Web Componentsを利用するためには、Webブラウザー側に機能を実装するなどの対応が必要だ。しかし対応状況はWebブラウザーによって差がある。Polymerは、Webブラウザーが実装しないWeb Componentsの機能がアプリから呼び出された際に、その機能をJavaScriptで補うという機能を備える。アプリ開発者はPolymerを使うことで、Webブラウザーの対応状況を意識せずに、Web Componentsを利用できる。