MNP(電話番号ポータビリティー制度)による契約者の流出などで苦戦するNTTドコモ。5月15日に開催した夏商戦に向けた新製品・サービスの発表会では、11機種のうちスマートフォン2機種だけを“ツートップ”と位置付けて、価格的に大きく優遇すると発表した。販売戦略を大転換したNTTドコモの狙いと、その影響について考えてみる。

「GALAXY S4」「Xperia A」だけを優遇する販売施策を発表

 NTTドコモの代表取締役社長である加藤薫氏は、発表会のプレゼンテーションで、何度も“ツートップ”という言葉を用いた。ツートップとは、夏商戦向けに投入する新しいスマートフォンの「GALAXY S4 SC-04E」(サムスン電子製)と「Xperia A SO-04E」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)の2機種のことを指している。

新機種の中でも、Xperia AとGALAXY S4を“ツートップ”として積極的に販売すると表明。価格面でも特別価格が設定され、他機種より安価に販売されるようだ
新機種の中でも、Xperia AとGALAXY S4を“ツートップ”として積極的に販売すると表明。価格面でも特別価格が設定され、他機種より安価に販売されるようだ
新機種の中でも、Xperia AとGALAXY S4を“ツートップ”として積極的に販売すると表明。価格面でも特別価格が設定され、他機種より安価に販売されるようだ
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 この2機種をツートップと呼ぶ理由は、今回同社が採る販売戦略にある。夏商戦向けに投入するのはスマートフォン10機種、タブレット1機種の計11機種だが、そのうちGALAXY S4とXperia Aだけを“一押し”として、積極的に販売すると表明したのだ。

 GALAXY S4とXperia Aは、販売面での優遇を大きく受ける。店頭でも“一押し”として積極的に訴求されるのはもちろん、価格面でも2年間の契約を前提とした特別価格が適用される。

 これに加えて、iモード携帯電話からの乗り換えで適用される「はじめてスマホ割」と、10年以上契約しているユーザーに適用される「ありがとう10年スマホ割」、双方を適用して最大2万円の割引を受けた場合、Xperia Aでは実質的な負担額が5000円程度になる。フィーチャーフォンからの乗り換えユーザーには、大きな特典になる。

 これまでNTTドコモは各社端末を同列に扱い、特定の端末だけを強く打ち出すことはしてこなかった。それが今回一転し、2機種だけを“特別扱い”する戦略に至ったのはなぜだろうか?