2013年3月20日と21日の2日間、オランダのアムステルダムにてHadoop Summit Europeが開催された。Hadoopのイベントとしては、毎年10月頃に開催されるHadoop Worldと並ぶ2大イベントのうちの1つであり、欧州で開催されるのは初めてのことであった。連載の最終回は、このイベントの様子について紹介する。

Hadoop Summit会場の様子

 米ヤフー!と米ホートンワークス(米ヤフー!のHadoop専門チームがスピンアウトしたHadoop専業ベンチャー企業。2011年6月設立)が共催するHadoop Summitは、今回で6回目の開催となる。前回までは年1回の開催であったが、今年はHadoop Summit Europeと、6月26日と27日に米国サンノゼで開催されるHadoop Summit North Americaの2回開催となる。

 会場はオランダの旧証券取引所で、オランダを代表するアムステルダム中央駅から近く、スキポール空港からのアクセスも良い場所であった(写真1)。参加者は600人程度で、日本からの参加者も数名参加していた。欧州での初めての開催ということもあって、米国で過去に開催されたHadoop SummitやHadoop Worldよりは参加者が少なく、会場内は比較的ゆったりとした雰囲気であった。

写真1●大ホールの様子
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セッションの全体概要

 3月20日と21日の両日とも、前半は基調講演、後半は一般セッションに時間が割り当てられた。後半の一般セッションでは以下の4つのカテゴリーが用意され、5つの会場で合計35のセッションが開催された。

■Applied Hadoop (8セッション)
 Hadoopによるデータ分析の事例
■Operating Hadoop (8セッション)
 Hadoopクラスタの運用や、チューニング手法の紹介
■Hadoop Futures (11セッション)
 Hadoopやその周辺のエコシステムに追加される新機能の紹介
■Integrating Hadoop (8セッション)
 既存システムからHadoopへの移行や、既存システムとHadoop
 との組み合わせについて

 3月20日は最後にライトニングトークセッションが開催され、10件の発表があった。

Hadoopはキャズムを越えていく

 本カンファレンスでは、Hadoop利用の広がりにまつわる発表が複数あったのが印象的であった。451 Researchのリサーチディレクター、マット・アスレット(Matt Aslett)氏は基調講演で、Hadoopの開発規模(ソースコード)の増加や、Hadoop技術者に対する求人の増加、LinkedInに登録されているHadoop技術者数の変遷など様々なデータを紹介した。そして、Hadoopコミュニティは着実に広がっており、Hadoopはキャズムを越えてメインストリームの市場へ広がっていくだろう、と述べた。キャズムとは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある「深く大きな溝」を指す。