韓国のサムスン電子は2013年内にも、世界約40カ所の生産工場にビジネスルール管理システム(BRMS)を全面導入する。韓国や中国、インドといったアジア地域のほか、欧州、北米、南米など全ての生産拠点が対象だ。スマートフォンといった完成品の工場ほか、電子部品などの工場にも適用する。業務プロセスの変更にかかる時間を最大75%短縮し、スピード経営を加速させたい考えだ。

 BRMSはシステムの開発・保守作業をスピードアップさせるためのソフトだ。業務プロセスやルールを表形式のデータとしてBRMSに入力すると、BRMSは業務プロセスやルールを実装したソースコードを自動生成する。プログラミングにかかる時間を減らせるほか、業務プロセスやルールの保守性を高められる。

 サムスン電子はBRMSを使って「MES(Manufacturing Execution System)」と呼ぶ各工場の生産実行システムを全面刷新する。MESはERP(統合基幹業務システム)やSCM(サプライチェーン管理システム)といった計画系システムと、生産現場の制御系システムをつなぐ役割を担う。

 このMESにBRMSを使うことで、生産に関わる業務プロセスの保守性を向上させる。同時に業務プロセスの標準化と統合を進め、世界規模での業務効率化を進める。新システムのソースコードは本社で集中管理する。BRMSには韓国イノルールズの「innoRules」を採用する。

 現在のMESは、拠点ごとに存在する。このため、拠点ごとにシステムの開発保守担当者が必要だった。業務プロセスの標準化が進めにくく、業務プロセスやルールの保守性にも課題があった。

 サムスン電子はブラジルの工場を皮切りに2011年から新システムの導入を始め、既に韓国や中国などの生産拠点で稼働させている。今後は導入ペースを速め、年内に全拠点への展開を完了させる計画だ。