(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
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今回の回答者: まほろば工房 代表取締役 近藤 邦昭 |
IPv6アドレスは2001:db8::1234:0:0:9abcといったように、けた数が多く、アルファベットが混じっています。そのため、192.168.1.1といったIPv4アドレスに比べると、口頭で正確に伝えるのは難しくなります。「IPv6アドレスは自動生成されるから、いちいち人が把握しなくてもよいのでは?」と思われがちですが、トラブルが発生したときに口頭で確認する可能性は十分考えられます。
国内のネットワーク技術者が集まるJANOG(JApan Network Operators' Group)でも、IPv6アドレスをどうやって伝えたらよいかについて議論したことがありました。このときは「アドレスを後ろから読む」というアイデアが出されました。
IPv6アドレスの前半部分はプロバイダーごとに固定的に割り当てられています。つまり同じプロバイダーのユーザーであれば、前半部分は共通です。ユーザー固有の数値はアドレスの後半部分なので、後ろから途中まで読めば、管理者にとって知りたい情報が伝わるのです。
企業ネットワークの場合、ネットワーク設計の段階で、口頭で伝えやすいアドレスに工夫するのも手です。例えば「アドレスの後半部分には16進数で使われるa~fのアルファベットを入れないようにする」だけでも伝えやすくなります。また、「IPv4アドレスをそのままIPv6アドレスに組み込む方法」なども技術者の間では一つのアイデアとして出されていました。IPv4アドレスで192.168.1.1を使っていたならば、IPv6アドレスは2001:db8::192:168:1:1にする─といった具合です。
ここで紹介したのは、あくまでも伝えやすいIPv6アドレスの一例に過ぎません。アドレスをいかにわかりやすいものにするかは、ネットワーク管理者にとってサポートのしやすさにもかかわってきます。みなさんもぜひ知恵を絞ってみてください。