この連載は、第1回でソリューションビジネスの「死の谷」について説明し、以降でその理由やソリューションビジネスに必要となるスキルや知識を説明しました。ではここまで述べてきた「死の谷」を乗り越えるためにはどうすればよいのでしょうか?

 あらためて「死の谷」を説明すると、「物売り」がソリューションビジネス化を志向する過程でぶちあたる、越え難い不連続なギャップを指す言葉です。そもそも「物売り」と「ソリューションビジネス」はその考え方が根本的に異なることがその原因として挙げられます。

 「死の谷」を越えるにはどうするか。結論から言えば、物売りの延長線上でこの「死の谷」を越えることは不可能に近いのではないかと思います。したがって身も蓋もない回答かもしれませんが、ソリューションビジネス化のために採る道は、究極的には「新しい組織や会社を立ち上げてそちらを成長させること」しかありません。これらは「思想の異なるビジネス」だからです。

 理由は第3回の「対立する2つの価値観、物売りのソリューションビジネス化が抱える構造的な矛盾」で述べた通り、一見同じ目標に向かっているようでいながら、全く相反する価値観を持った2つの考え方が両立することはあり得ないからです。