NTTドコモがスマートフォンやタブレットを利用した新たな学習支援サービスとして「ドコモゼミ」を開始したのが、2011年9月1日である。「いつでもどこでも手軽に学べる」「大人から子供まで」「たくさんのジャンル、アプリを使って勉強してもらおう」という考え方に基づいてサービスを展開している。

 もともとはGoogleプレイを使ってアプリを販売するという売り切りの形でスタートした。2012年5月には、使い放題でアプリを利用できる「月額コース」も開始した。現在は、資格や趣味、外国語など様々なジャンルのアプリが対象となる「月額使い放題コース」が月額525円、小中学生コースが980円、大学受験コースが月額525円、学研ビクトリーコースが月額1470円である。

 「学び」は子供から大人まで、人生によりそって常にあるといい、NTTドコモとしてそれをサポートしたいという。同社はソーシャルサポートの観点から、ヘルスケアや環境など様々なことを手がけており、学びもその一環という。受験や学校教育だけでなく、幅広いジャンルを扱っており、「学び」をキーワードに様々なアプリが定額で提供されている。

教育サービス会社として事業に取り組む

 このドコモゼミについて、「教育サービス会社として事業をしている」(NTTドコモ フロンティアサービス部放送・教育事業推進担当部長の伊能美和子氏)といい、キャリアフリー化や、テレビを含むマルチデバイス化を推進する方針を述べた。さらに、NTTドコモの子会社が手がける放送メディアである「NOTTV」との連携にも強い意欲を示した。

 ドコモゼミは、大きく二つの意味で注目されるサービスである。一つは、中期戦略として「モバイルを核とする総合サービス企業を目指す」としたNTTドコモにとって、学びは総合サービスの構成する一つの有力な要素になる可能性があることだ。ドコモゼミでは、端末やキャリアに関わらず、学びを求めるすべてのユーザーが利用できるようにHTML5によるwebアプリへの取り組みを進めており、総合サービスを提供する場合のHTML5の位置付けという意味でも一つの試金石になる。

 もう一つは、パートナーを組む外部企業発掘の取り組みの一つの手法としても位置付けられる取り組みを、「学び」をキーワードに進めていることである。同社は、新たな事業領域の開拓を加速するため、ベンチャー企業・団体などを対象に、起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」を2013年2月7日に開始した。この一環として、「学び」をテーマにしたHTML5ベースのwebアプリの創出を目指す場である「ドコモゼミwebアプリラボ」をスタートさせており、アプリ開発会社とのコラボを進める第一弾と位置付けている。