2013年4月末から5月上旬にかけて、大手IT企業が2013年3月期連結決算を相次いで発表した。ITサービス分野が好調で増収増益になった企業も多く、「ITサービスは12年前半は厳しかったが、後半は回復してきた。13年度も期待できる」(富士通の山本正已社長)、「これまでIT投資を我慢してきたユーザー企業が、今後の景気回復に伴い積極的に投資するだろう」(NTTデータの岩本敏男社長)など、ITサービスの分野では14年3月期も「明るさ」を展望する経営トップが目立った。

写真1●NTTデータの岩本敏男社長
写真1●NTTデータの岩本敏男社長

 大手メーカーの場合、日立製作所の売上高は全体で前年度比6.5%減の9兆410億7100万円、営業利益は同2.4%増の4220億2800万円だったが、部門別では「情報・通信システム」の売上高が同1.0%増の1兆7865億8700万円に、営業利益は同3.0%増の1046億8900万円と増収増益だった。海外のストレージ事業などが好調だったという。

 NECと富士通は明暗を分けた。NECの売上高は全体で同1.1%増の3兆716億900万円、営業利益は同55.5%増の1146億4700万円で増収増益。部門別では「ITソリューション」が順調に推移しており、売上高は同4.8%増の1兆2458億円、営業利益は同47.5%増の661億円だった。同社は4月からソリューション部隊の再編に取り組んでおり、さらなる市場開拓を目指している。

 富士通の売上高は全体で同1.9%減の4兆3817億2800万円、営業利益は同9.5%減の952億7800万円と減収減益になった。半導体事業の再編費用などで特別損失を計上したことが響いたが、ITサービスなど「ソリューション/SI」部門の売上高は8371億円と同1.5%増だった。

写真2●富士通の山本正已社長
写真2●富士通の山本正已社長

 ITサービス大手、NTTデータの売上高は同4.1%増の1兆3019億4100万円で、営業利益は同6.6%増の856億9600万円だった。部門別では通信や製造、流通業などを手掛ける「エンタープライズITサービス」の売上高が同9.2%増の3011億円と好調だった。金融や公共といった「パブリック&フィナンシャル」の売上高は7288億円でほぼ横ばいだった。

 野村総合研究所の売上高は3638億9100万円で同8.4%増、営業利益は440億1300万円と同2.0%増。部門別の売上高(外部)では「金融ITソリューション」が2197億5400万円と同8.5%増、このうち証券業向けは1159億400万円で同16.0%増だが、保険業向けは501億6200万円で同8.1%減だった。「産業ITソリューション」は836億1500万円で同16.3%増で、「コンサルティング」も227億6100万円で同5.0%増。IT基盤サービスは288億5000万円で同6.3%減である 。