前回の記事で紹介した「Structuring A Social Media Team」だが、これを読み込んで見えてくるものを、もう少し解説してみよう。前回は運営体制をはじめとした「ヒト」に関する話をしてみたが、今回は担当者たちが、実際に業務の場で使っている「ツール」という角度から、米国企業のソーシャルメディアに対する向き合い方を考える。

 前回書いた、企業のソーシャルメディア施策全般に対するリソースの割き方や予算の配分状況をから容易に想像ができるが、基本的にはどの企業も「ヒト」同様「ツール」に対しても、十分に投資ができているとは言い難い。本調査でも59%の企業が「無償ツールを使用している」と回答していた。

 「部分的に有償ツールを使用している」と答えた企業と、「すべて有償ツールを使用している」と回答した企業を合わせても41%だったことから、環境がきちんと整備されている状況にはまだまだ至っていないといえるだろう。

 使用している無償ツールとして最も高い支持を集めたのがGoogle Analyticsで約80%。そしてGoogle AlertsとHootsuiteが続いた。この結果からは、「ツール」の活用により企業が実行しているのは、基本的に「自分たちの企業(および製品やサービス)が、ソーシャルメディア上でどのように語られているか」を大雑把に俯瞰すること、そして「自分たちのソーシャルメディアでの発言を中心とした活動が、トラフィックという形で企業サイトにどの程度のリターンをもたらしているか」の計測といったことがメーンとなっていると推測できる。

 特に「リスニング(傾聴)」活動に力を入れる場合には、Radian6をはじめとした有償のソーシャルリスニングツールを使い、さらに自分たちの持つソーシャルメディアのアカウントを、(たとえば複数人の担当者で、ガバナンスを利かせたマネジメントをするなど)しっかりと運用するためにHootsuiteの有償サービスを利用するというケースが多く見られる。

 前述したように、有償無償を問わずこれら「ツール」を活用してリスニングするのは、「自分たちの企業(および製品やサービス)が、ソーシャルメディア上で、どのように語られているか」という内容で、全体の90%近くを占めている。続いて「業界関連のニュース、トレンド、イベントなどの情報収集」、そして「競合他社の情報」となる。