RSA Innovation Sandboxでは、セキュリティ技術のイノベーションが紹介された。Skyhigh Networks (スカイハイ・ネットワークス) はCupertino (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、企業内で不正に使用されているクラウド・サービスを管理する機能を提供している。

社内からのクラウド利用を検知

 企業がクラウドに支出する費用は2015年には729億ドルとなり、年間伸び率は27.2%で、ITサービスのクラウドへの移行が加速している。これと並行して、Shadow IT (シャドーIT) が大きな問題となっている。Shadow ITとは、IT部門の許可を受けないで、社員が独自に使用しているクラウドを指す。Shadow ITは、業務効率化に寄与しているものもあるが、セキュリティ面で危険性をはらんでいる。Skyhigh Networksは、社内で利用されているクラウドの実態を把握するための機能を提供している。Skyhighのブースにおいて (上の写真、出展はいずれもVentureClef)、 エンジニアリング担当副社長であるSekhar Sarukkaiから、Skyhigh Networksのデモを見ながら機能説明を受けた。

 下の写真はSkyhigh Networksのダッシュボードで、社内で利用されているクラウドについて、統計情報を表示している。画面上段には、社内で利用されているクラウドの数が表示され、全部で294のクラウドが利用されていることが分かる。その中で69が危険性をはらんでいるクラウドであると警告している。中段のグラフはクラウドへのアクセス数の推移を示しており、リスクの度合いをグラフの色で表示している。グラフ上の赤丸は、問題となるイベントを示しており、アイコンをクリックすると詳細情報が表示される。下段は、利用されているクラウドをアクセス回数の多い順に表示している。

 危険なクラウドとは、マルチ・テナントで運用されているサービスや、データを暗号化しないで保管しているサイトなどで、社内データ流出の危険性がある。Skyhigh Networksは、これらのクラウドについて、リスクが大であると評価し、IT管理者に注意を喚起する。また、Skyhigh Networksは、社員のクラウド操作を監視し、データ送信量が急増するなど、不審なオペレーションにフラッグを立て警告する。Skyhigh Networksは、Ciscoなどで利用されており、社内データ流出につながるクラウドの運用を停止したり、社員の不審な挙動の検出などに利用されている。

 Skyhigh Networksは、クラウドの影の部分に光を当て、企業データ保全に努めている。

宮本 和明(みやもと かずあき)
米ベンチャークレフ社代表
宮本 和明(みやもと かずあき) 1955年広島県に生まれる。1985年、富士通より米国アムダール社に赴任。北米でのスーパーコンピュータ事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフ社を設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、技術トレンドをレポート。
本記事はベンチャークレフ「Emerging Technology Review
より編集・構成したものです。