バングラデシュには五つの国立工科大学がある。その中の一つが、2003年創立のダッカ工科大学だ。同校のコンピュータサイエンス&エンジニアリング学部で責任者を務めるナシム・アクター学部長は、「バングラデシュIT人材の能力はインドに負けない。一方で性格はいたって真面目だ」と話す。バングラデシュのIT教育施策や人材の特徴などについて話を聞いた。(聞き手は岡部一詩=日経コンピュータ)

バングラデシュのIT教育事情を教えてほしい。

ダッカ工科大学コンピュータサイエンス&エンジニアリング学部<br>学部長 ナシム・アクター氏
ダッカ工科大学コンピュータサイエンス&エンジニアリング学部
学部長 ナシム・アクター氏
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 バングラデシュには、五つの有名な国立工科大学がある。ダッカ工科大学(写真1)のほか、バングラデシュ工科大、クルナ工科大学、チッタゴン工科大、ラジシャヒ工科大だ。これらの国立大学の学費は無償、学生に宿泊施設なども提供している。

 その分、競争は激しい。当校のコンピュータサイエンス&エンジニアリング学部の定員は60名だが、3000人の応募がある状態。昨今は私立の工科系大学も増えているが、富裕層に限られてしまうという課題がある。当校は政府に対して、定員を120名に増やしたいという要望を出しているところだ。

学生はどういった技術を学ぶのか。

 基本的な技術として、C言語やC++、Javaなどのプログラミング言語、ネットワーク関係ではTCP/IPなどの基礎を教えている。ただしこれだけでは、実践的な業務にはあたれない。

 そこでアドバンスドコースというものを設け、PHPやAndroidといったWebやスマホ向けのプログラミング言語やCisco、Oracleなど企業でよく使われている技術を、2週間から2カ月で教えている。

卒業生の主な就職先は。

 60人の卒業生のうち、2~3人が米国企業に就職する。そのほかは、国内のITベンダーや金融・通信関連企業が半分、中東などの企業に就職する学生が残りの半分といった具合だ。最近では、米グーグルがリクルーティングに来た。