「みんな厳しいな」

 講師から配布された360度評価シートを見て、部下たちが私をどう評価しているかを知った瞬間、まず浮かんだのがこの感想だった。

 周囲と自分の評価は意外に違う。「できている」と自分が思っていたことを周りは「できていない」と見ている。その逆もしかりだった。

 ギャップが大きかった評価項目の1つは「傾聴」だ。部下の話をきちんと聞いているほうだと私自身は思っていた。だが、部下からの評価は私が想定していたより低い。本人である私を目の前にしないアンケートによって、部下の本音が初めて浮かび上がってきたということだろう。

 この360度評価は、社外の能力養成プログラムを受講するにあたって実施したものだ。プログラムが始まる前に、事務局から「周囲の人々に依頼し、あなたに対する評価をシートに記入してもらって下さい」と指示があった。

 上司や同僚、私がリーダーをしているグループのメンバーなどに評価シートを渡して、私のリーダーとしての特性を複数の項目で評価してもらった。評価シートは事務局に直接返送され、プログラムが始まるまで私は見ることはできなかった。