dynabook KIRA V832の外観
dynabook KIRA V832の外観
[画像のクリックで拡大表示]

 「dynabook KIRA V832」は、ノートPCとして異例の2560×1440ドットのディスプレイを搭載する、東芝の最新Ultrabookだ。

 13.3型というモバイルノートでは一般的な画面サイズにも関わらず、2560×1440ドット(WQHD)という超高解像度の液晶パネルを採用している。従来の1366×768ドットクラスのディスプレイと比べて3.5倍の情報量を表示することで、広大なWindowsデスクトップを活用できる。また、Windows 8から導入されたWindowsストアアプリにも、スケーリングによる高精細な表示を期待できる。

 同シリーズのUltrabookとしては、本サイトのレビュー記事でも取り上げた「dynabook KIRA V632」がある。このV632も、今回のdynabook KIRA V832の下位モデルとして「dynabook KIRA」ブランドに統合される形となった。

 今回は下位モデルであるV632との違いも踏まえつつ、dynabook KIRA V832を詳しくレビューしていきたい。

ハイエンド機種だが店頭モデルは意外にも安い

 今回評価するdynabook KIRA V832/28HSの主なスペックを以下に示す(詳細な仕様は東芝のWebサイトを参照)。

CPU:Intel Core i5-3337U 1.8GHz
メモリー:8GB
ストレージ:128GB SSD
GPU:Intel HD Graphics 4000
ディスプレイ:13.3インチ(2560×1440ドット)
OS:Windows 8(64ビット)

 dynabook KIRA V832には、V632同様に店頭モデルと直販モデルが用意されている。店頭モデルはCore i5プロセッサ・8GBメモリー・128GB SSDを搭載したスタンダードな構成だ。これに対して、直販モデルはスペックを強化したモデルとなる。オプションとして東芝による追加の保証サービスも提供している。

 V832の最大の特徴であるWQHDの超解像度ディスプレイについては、店頭モデル・直販モデルともに共通の仕様となっている。店頭モデルの価格はおおむね14万円台だが、原稿執筆時点では12万円後半で販売するショップも見受けられる。この価格には「Office Home and Business 2013」も含まれていることから、ハイエンドのUltrabookとしては手の届きやすい価格だ。同じく超高解像度の「Retinaディスプレイ」搭載のMacBook Pro(13万8800円~)と比べても、十分対抗できる価格といって良いだろう。

 一方、東芝ダイレクトによる直販モデルはどうだろうか。直販モデルはCore i7プロセッサと256GB SSD、OSとしてWindows 8 Proを搭載している点が店頭モデルとの主な違いとなる。価格はOfficeなしで17万2800円、Office込みで18万9800円となっており、店頭モデルの市場価格に比べて割高に感じる。

 最近のUltrabookに見られる傾向と同じく、dynabook KIRA V832もメモリーやストレージの増設をサポートしていない。そのため、128GBという店頭モデルのSSD容量で満足できるかどうかが選択基準となるだろう。

dynabook KIRA V832のパーティション構成
dynabook KIRA V832のパーティション構成
[画像のクリックで拡大表示]

 評価機のSSDは、Cドライブに95GBが割り当てられているが、空き容量は55GBとやや少なかった。予算に余裕があれば256GBの直販モデルも検討したいところだ。なお、SSDの交換はサポートされていないものの、東芝製の「THNSNF128GMCS」で、mSATA接続のタイプとなっている。

 下位機種である「dynabook KIRA V632」との比較ではどうだろうか。V632の市場価格は当然ながらV832より安いものの、10~11万円程度。つまりV632の価格に3万円を加算することで、タッチに対応したWQHD解像度のディスプレイを得られると考えてよいだろう。後述するように、WQHDディスプレイは高解像度と引き換えに、本体重量やバッテリー駆動時間の面でトレードオフがある。そのためV832が全面的に優れているわけではないものの、他のPCでは得られない解像度のディスプレイを体験したい人にとって、十分に魅力的な価格という印象だ。