ITエンジニアのキャリアの一つに「ITアーキテクト」があるが、今ひとつ実像をつかみにくい職種である。そこでこの週末スペシャルでは、筆者がこれまでに関わったITアーキテクトの記事をまとめ、少しでもその実像と魅力をお伝えしたい。

 筆者なりのITアーキテクトの定義はこうだった。「システムのアーキテクチャーに責任を持つエンジニア」。しかし、この定義ではイメージがクリアになるどころか、新たな疑問を持つ人のほうが多いだろう。

 その疑問とは「アーキテクチャーとは何か?」である。アーキテクチャーがモヤモヤしている以上、ITアーキテクトもモヤモヤしてしまう。そう思っていたときに書いたのが次の2本の記事だ。「エンジニアの発想」「要件の設計の間にあるもの」といったアプローチでアーキテクチャーの実体に迫ろうとしている。

 アーキテクチャーについて考えれば考えるほど、「アーキテクチャーは大事である」という思いを強く抱くようになった。その思いを“増改築温泉宿システム”の現場にたとえたのがこの記事である。

 アーキテクチャーが大事だと思うと新たな疑問がわいてくる。「いったい、だれがシステムのアーキテクチャーを決めているのか」というものだ。

 「ITアーキテクト」というエンジニアの仕事はおもしろいし、米国のソフトウエア開発の現場では、優れたITエンジニアは優れたITアーキテクトであると考えられている。

 ITアーキテクトを増やしたい。そのためにはITアーキテクトがしていることをまとめ、興味のあるITエンジニアに真似をしてもらうのも一つの方法である。そこで役立つのが次の連載である。