Windowsのスクリーンは、ずっと96dpiが前提だった。1インチあたり96ピクセルだ。今、ほとんどのディスプレイはフルHD、つまり、1920×1080ピクセルの解像度を持つが、これを96dpiで表示させようとすると約23インチの大きさが必要になる。
だが、ノートパソコンの多くはそれよりも小さなスクリーンしかない。今後、より小さなサイズのタブレットなどが普及した場合は、さらに小さなスクリーンなのに解像度はフルHDというケースも出てくるはずだ。一方で、家庭用テレビに接続する場合は39インチ、42インチ、47インチなど、23インチをはるかに超えるいろいろなサイズのものがある。
だが、Windowsは、接続されているスクリーンのサイズを考慮してくれない。それはWindows 8の時代になっても大きくは変わっていない。人間の目が見ているスクリーンは、そのサイズと解像度で算出できるdpi値で決まるのに、Windowsは解像度だけを見ているのだ。高精細のディスプレイは写真などの画像はきれい表示してくれるが、dpi値を調整してくれないと、文字は小さくて読みにくく、ボタンは小さくてタップできなくなる。
Win8で少し改良、でもデスクトップモードはそのまま
Microsoftによれば、Windows 8開発初期の段階では、スクリーンのサイズを考慮してスケーリングし、どのようなサイズのスクリーンであっても解像度と照らし合わせてdpi値を保つことも考えたようなのだが、多くのアプリでビットマップグラフィックスが使われているため、その計画をキャンセルしたという経緯もあるようだ。
その代わりに、Windows 8ではスクリーンの表示倍率として100%、140%、180%という3種類を決め打ちし、接続されているスクリーンサイズに応じてそれを適用するようにした。Windows 8のスタート画面に並んでいるアプリのタイルを見ると分かるが、スクリーンごとに何段で表示されるかが変わるようだ。ユーザーから見たときに、タイルの大きさが極端に異なるようなことがないように配慮されている。表示段数はdpi値によってWindows 8が自動的に変更するようだ。また、個々のアプリについても同等のコントロールがなされるようになっている。
もっとも、従来のデスクトップモードで使うアプリではそのような配慮はなされない。5インチタブレットでフルHDというのは珍しくもなんともないが、それでもデスクトップ全体を100%のスケーリングで表示してしまう。小さくて読めない文字や、タップできないボタンは、ユーザーが自分でスケーリングを設定しなければならないのだ。
フリーランスライター