オープンソース関連コミュニティによるイベント「オープンソースカンファレンス(OSC) 2013 Tokyo/Spring」が2013年2月22日と23日、東京の明星大学で開催された。22日に行われたトラック「OSC.Government 2013 Spring~オープンソースと政府・自治体~」ではオープンソースとオープンデータについて一線で活用を進める当事者による報告が行われた。

写真●OSC.Government 2013 Spring~オープンソースと政府・自治体~
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 OSC.Governmentは2010年からOSCの同時開催イベントとして開催されている、政府・自治体におけるオープンソースソフトウエア(OSS)活用をテーマにしたイベント。今回が6回めとなる。

広がるオープンデータ活用、「地域の問題を自ら改善」
国際大学GLOCOM主任研究員/OKFJ代表 庄司昌彦氏

 最初の基調講演に登壇したのは国際大学GLOCOM主任研究員でOpen Knowledge Foundation Japan(OKFJ)代表の庄司昌彦氏。「オープンデータで作る、オープンガバメントと『Do It Ourselves』な社会」と題し講演した。

写真●国際大学GLOCOM主任研究員/OKFJ代表 庄司昌彦氏
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 庄司氏は情報社会学、電子行政・オープンガバメントなどを専門とする。 2010~2012年には、内閣官房IT戦略本部の電子行政に関するタスクフォースで構成員を務めた。Open Knowledge Foundation(OKF)はオープンデータとオープンガバメントをを推進する団体。OKFJは呼応して日本で設立された目的を同じくする団体である。

 庄司氏は、実際に今、手を動かしてオープンデータを活用し、地域の課題を自ら改善していこうという市民の動きと、データをオープンにしていこうという動きが存在することを紹介した。

 政府は2012年7月「電子行政オープンデータ戦略」を発表、「政府自ら積極的にデータを公開」「機械判読可能な形式で公開」「営利・非営利を問わず活用促進」「可能なデータから速やかに公開」という基本原則を掲げた。

 市民の取り組み例として庄司氏が紹介したのが、2012年12月に開催された「気象データハッカソン」(関連記事)。集まった開発者たちに気象庁の担当者がデータの見方をアドバイス。「体調」や「住みやすさ」の可視化サービスなどのアプリが開発された。

 オープンデータ活用ハッカソンで開発された「税金はどこへ行った?」は、横浜市の財政データを基に、1人あたりの税金がどのように使われたのかをわかりやすく表示してくれるサイト。イギリスで作られたWhere does my Money Go?のコードをベースに開発された。現在、横浜だけでなく千葉市、仙台市、福岡市、北名古屋市、宮城県南三陸町、北海道江別市、札幌市版も作成されている。

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写真●さまざまなオープンデータ活用事例

 この講演の翌日、2月23日には世界100以上の都市で同時に開催されるオープンデータの活用イベント「International Open Data Day」も行われている(関連記事)。

 また、OKFJのWebサイトでは32カ国、約400のオープンデータ事例を公開している。

 庄司市は「オープンデータの活用には行政はもちろんだが、民間の取り組みが不可欠。試行錯誤してみなければ新しい価値は作れない。アイデアだけでも貴重であり、ハッカソンにITに関係ない人もぜひ来てほしい」と呼びかけた。

■庄司氏の講演資料
オープンデータで作る、オープンガバメントと「Do It Ourselves」な社会(PDF)