アプリマーケットには既に数十万という単位のアプリが存在し、現在も数を増している。アプリ数の増加に合わせ、ユーザーのアプリの探し方も大きく変化しつつあるようだ。特に重視されるようになったのが、目的に合ったアプリを直接探す「キーワード検索」。そうしたマーケット動向を意識してか、アプリマーケット内のSEO(サーチエンジン最適化)に取り組むアプリ提供者が着実に増えているようで、「ASO」(アプリストア最適化)という言葉も生まれている。

 では実際、ASOをするには何が求められるのだろうか。今回はASOを実施する上で、注意するべきポイントを解説する。

ユーザーの動向変化がASOに拍車をかける

 最近、App StoreやGoogle Play内で配信されているアプリの名前を見ると「長いタイトルのアプリが増えているのが気になる」という人も多いのではないだろうか。以前はせいぜいアプリの名前と簡単な解説のみと、長くても10数文字のものが多かった。だが最近は、名称にアプリの詳しい内容説明を入れ、30文字を超えるケースも増えている。

 なぜ、これだけ長いアプリ名が増えているのだろうか。それにはいくつかの要因があるが、最大の要因と考えられるのが、アプリマーケット内の検索機能対策、すなわちASOに取り組む事業者が増えたことだろう。自身のアプリに適したキーワードをタイトルに含めることで、そのキーワードでユーザーが検索した際、検索結果の上位に自身のアプリが表示されやすくなる。

 実際の例を挙げてみよう。例えばスマートフォンアプリで人気となったパンダのキャラクター「だーぱん」を起用した無料アプリを確認してみると、以前は人気となったキャラクターの名前をタイトルに含めることで注目を集める傾向が強かった。だが現在のランキング状況を見ると、アプリタイトルに詳しい内容が含まれているアプリが上位にランクインする傾向が強くなっている。

表1●“だーぱん”のキャラクターを用いた無料アプリのランキング順位(2013年4月24日時点)
App Store・トップ無料
順位 アプリ名
10 使い方 for iPhone -写真つき詳しい説明&裏技がたくさん!-
19 ダイエット!体重管理ツール+カロリー辞典
80 どこでもミラー
Google Play・人気(無料)
順位 アプリ名
39 節電♪長持ちバッテリー(電池節約&残量管理&スマホ最適化)
158 ダイエット♪体重管理ツール+カロリー辞典(無料で体重記録)
177 超便利ミラー(他人から見た自分もみれる鏡アプリ)
193 サクサク for Android メモリ解放でスマホ高速化

 こうした傾向の変化からうかがえるのは、ユーザー動向が変化しているということである。スマートフォン人気の高まりからアプリ数が急速に増えている昨今、新着アプリやアプリカテゴリなどを見ても、数が多すぎて個々のアプリの違いは分かりづらい。その結果、探すことをあきらめてしまうユーザーも多い。

 それゆえ、目的を持たずにアプリを探しに来た人は、多くの人がインストールしているランキング上位のアプリを以前よりも重視する傾向が強くなっている。一方で、目的を持ってアプリを探すユーザーはキーワード検索を利用する傾向が強くなり、アプリの露出機会を増やす上でもASOが重要になったといえる。広告の出稿は一時的にアプリのランクインに寄与するが、資金的に広告出稿が難しい事業者などは、勢いASOに力を入れる傾向が強くなる。